頭の中の『私の部屋』
『私の部屋』ってご存知ですか?リアルな自分の部屋ではなく、脳内の『私の部屋』です。ずーっと忘れていたのに、何かの折に、最近ハッと思い出して行ってみました。最初は誰に教えてもらったのか忘れてしまいましたが、確か、愛犬が病気になり、その命の終わりを感じた頃だったかと思います。ずっと心配しては胸がドキドキして何も手につかなかったり、勝手に涙が出てきたり、一日中仕事もしながら、私にできることは他にないだろうかと頭の中がいっぱいで、疲労もどんどん溜まっていく。そんな日々を過ごしていた頃に、誰かが教えてくれました。
『私の部屋って知ってる?』最初は何か怪しいものかと思いながら、教えてもらった通りに半信半疑でやってみたのです。頭の中で、まず自分のお気に入りの部屋をつくります。頭の中のイメージで、区切ったその空間に好きなものを並べます。私の部屋はとってもシンプルです。本がぎっしり詰まった本棚1つとちゃぶ台。以上です。この時代にちゃぶ台って…ってツッコミはさておき、私の人生において絶対にそばに置いておきたいものはこれだけのようです。そしてお部屋が出来上がったら、イメージの中でちょっとその部屋でくつろいでホッとしてから、周りを見渡します。そうするとね、誰かいたりするんです。怖いですね(笑)。でもね、あくまでも私のためだけの私の部屋です。だから、誰かいてもらっちゃ困るんです。私の場合はね、やっぱり居ましたよ。愛犬が。そんな時には、そのいる人に、『ここ、私の部屋なんで出てってもらっていいですか?』って話をするんです。で、出てってもらう。私も、愛犬に話しかけて出てってもらいました。なぜか、リアルだとそばにずっと居てほしい存在でも、脳内の私の部屋では、出てってほしいものなのです。そして、出てってもらい、スッキリした脳内の私の部屋でくつろいで、現実に帰ってくる。そうすると、不思議なもので、さっきまで、頭いっぱいだったその人のことをあまり考えなくなるのです。考えても、悲しいとか、悔しいとか、怒りとか、なんらか抱いていたその感情が湧かなくなる。不思議ですね。
そんな私の部屋が気に入り、しばらく使っていたのですが、すっかり忘れていました。それからもう5年は経った今、急に思い出してやってみました。
相変わらず、本棚とちゃぶ台しかないスッキリした部屋。居心地がいい。
良かった、その部屋には、今は私の他に誰もいなかった。
頭の中が誰かや何かで散らかっている時には、是非この話を思い出してやってみてくださいね。