GR寫眞月記 6月
昔から何かで誰かと競い合うことがあまり得意ではなかった。
競う、とまでは言い難いような、本当にささやかなこともだ。例えば、子どもの頃、幼稚園が終わって玄関から出てくるのもいつも最後の方。必ず毎日、1番に飛び出していく子っていたよなあ。
ちなみにいまだに、飛行機やバスから降りる時はそのクセが抜けないでいる。
趣味は写真です、と言い始めた頃にはすでにSNSが盛んな時代で、人と比べて落ち込んだりもっと頑張らなきゃと思ったりすることが多かった。写真が好きというより、写真という手段を通して、いかに珍しい瞬間を捉えられたかを披露する、という感じになってしまっていたように思う。(ここではそういうスタイルを否定したい意図はない、念のため。)
自分が好きでやっていることが、いつの間にか、誰かと競うことになりかけてしまっていて、とてももどかしい思いを抱えていたのだ。
何が本当の転機だったのかは自分でもわからない。日常のスナップ写真を撮るようになってから、抱えていたもどかしさは少しずつ薄れていったように思う。
そもそも転機なんてなかったのかもしれない。初めて自分のデジタルカメラを与えてもらった12歳のとき、庭のシジミチョウを撮って家のプリンタで印刷して、大事に飾っていた頃の気持ちって、誰かと比べてどうこうというものではなかったはずだ。ほんとのほんとの最初の気持ちって、わたしがわたしのために撮った写真って嬉しくて大切、ってシンプルなものだったんだろう。
それをずっと忘れていて、やっと思い出せて、それでいまようやく軽やかな気持ちで写真を続けられているだけなのかもしれない。
わたしがわたしのために撮った写真を、こうして人様に披露しておいて何を言っているんだ?という感じもあるけれど、まあまあ、そうおっしゃらずに、今月も見てくださったらそれはもちろん嬉しく思います。
今月もまた
ここまで見ていただいてありがとうございました。
終
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