夏は嫌いだけど概念としての夏は好き こんなツイートを随分前に見たことがある。 まあここでいうところの「夏」は、ほとんど「暑さ」を指していると思うのだけど、それが占める割合があまりにも大きくて、夏が好きかどうか問われるとちょっと考えてしまうくらいだ。 一方の「概念としての夏」とはなんだろう。 いつまでも明るい西の空、長く伸びた影、ビルの向こうの入道雲、蝉の抜け殻、汗をかいたペットボトル、眩しいくらい青々とした田んぼ、ノースリーブのワンピース、遠くに聞こえる花火、ビアガーデ
昔から何かで誰かと競い合うことがあまり得意ではなかった。 競う、とまでは言い難いような、本当にささやかなこともだ。例えば、子どもの頃、幼稚園が終わって玄関から出てくるのもいつも最後の方。必ず毎日、1番に飛び出していく子っていたよなあ。 ちなみにいまだに、飛行機やバスから降りる時はそのクセが抜けないでいる。 趣味は写真です、と言い始めた頃にはすでにSNSが盛んな時代で、人と比べて落ち込んだりもっと頑張らなきゃと思ったりすることが多かった。写真が好きというより、写真という手段を
4月から放送している朝ドラの「らんまん」にすっかりハマっている。 日本植物学の父と言われる、牧野富太郎博士をモデルに、神木隆之介くんが牧野万太郎として主演を務める物語である。 ここでストーリーを語ることはしないが、ひとことで言うと、すっごい植物ヲタクが植物まっしぐらにわき目も振らず突き進む、という感じだ。 イマドキの言い方をすると、1人のヲタクの、1人の人生をかけた推し活を見せられているようなドラマである。 ドラマの中で、神木くん演じる万太郎が、 「雑草という草はない。必
4月1日。去年の夏にかかったコロナぶりに、しっかりめの風邪を引いてしまった。 そして、コロナの時も欠かさず、456日間続けてきた写真を撮る習慣は、何の前触れもなく終わってしまった。 きっかけは風邪を引いて寝込んだことではあったけれど、ほんとのことを言うといまわたしは写真を撮ることとは別のことに自分の関心が傾いていて、このタイミングでこの習慣が終わることは必然だったようにも感じている。 こういう変化に自分自身驚いてるし、興味深く思っているし、撮らなくなってわかったこととか気づ
寒い風に身を縮こめていたわたしたちを叩き起こすように、足早に桜前線が北上している。 今年は全国的に記録的な早さで桜が開花し、彼らにとっては恵みとなった菜種梅雨の中、東京では満開を迎えた。 3月から4月は、一年の中でもっとも楽しみにしている季節で、かつては桜を追いかけるために寝る間も惜しんで撮影に駆け回ったものである。 そうするうちに、どこの場所でも、桜はその土地の人に愛され、大切にされ、今も昔も春を待つ人々の希望であることに気付かされた。 そしてそれは決して、桜の名所と呼
2月は冬なのか春なのか。 福島に暮らしていた頃は、2月といえば1番寒い頃で、春なんてまだまだ遠くて。 そんなスタンスで過ごしていたのに、東京や埼玉に移り住んでから、2月というのが随分と春めいた季節であることを知った。 子供の頃の経験や思い出は一生ついて離れないもので、地元を出てから13年経った今でも、こんなことを毎年思いながら過ごしている。 少しぬるくなった空気に編み込まれた春の匂いが好きで、外を歩きながら何度も目を閉じた。
最近、SNS上でも、写真展などのリアルな場でも、誰かの作品を見て何かしら言葉にして感想を伝えることの難しさを、勝手に感じてしまっている。 スナップを好んで撮るようになってしばらくした頃に、いわゆる「他己紹介」的な場面で「綺麗な写真を撮る人」と紹介してもらったことがあった。 普通に嬉しい言葉だし、見てくれていてありがたいなと思った。だけど、嬉しいはずのその言葉が、喉に引っかかった小骨のように、ささやかな存在感を私の中でずっと放ち続けていた。 最近になって、もしかしたらこうい
続・gr365というかんじで、今年はもう少し肩の力を抜きながら、毎日相棒のGR3で撮っている写真を月毎にまとめようと思う。 といっても「見せるもの」というよりも「記録物」という位置付けなので、見てくださる方はそのあたりお含みおきを... ちなみに、月毎だから、日記じゃなくて月記。 寫眞は漢字がかっこいいので採用、ただそれだけ。
遠出をしたり、山へ行ったりしない週末には、東京をスナップしながら散歩するのが好きだ。 たまに撮りに出かけたときにはこうして、noteにまとめてみようと思う。 _______ 1月半ばのよく晴れた土曜日。冷たい風が少し強く吹いている。 この雲ひとつない青空とは裏腹に、週明けには記録的な大寒波が日本全体を覆うらしい。 ちょうど1年前、東京都内にも積もるほどの雪が降った。当時を思い出して、来週は東京の雪景色が見られるのかなあ、などと思いながら、愛機を片手に浅草へ赴く。 __
朝6時。早めに起きて温泉に浸かり、ご飯を食べて身支度をととのえる。 青森で迎える最後の朝は、青空が覗いていた。 雪に日差しが反射して部屋の中まで明るい。 楽しい時間はあっという間で、酸ヶ湯温泉をあとにする。また来たいな。 私の前にお会計で並んでいたスキーをしそうなおじさまは、1人で10泊もしていたようだった。ということは、年越しもしたんだ。ああ。そんな贅沢ができる大人になりたい。 天気が良いので、急遽、予定になかった八甲田山へ。もちろん目的は、スノーモンスターとの数年ぶり
青森に来て2日目。 今日の目的地は酸ヶ湯温泉。全国的にも名高い豪雪地帯である。 迎えのバスに乗り込むまでの時間、少し観光をしていくことにした。 ホテルを出る頃、雪は止んでいた。 北国の冬の空は次々に心変わりしていく。 密かに楽しみにしていた岩木山は、今日も見えずじまいになりそうだ。 昨日の晩のうちに、朝から開いている喫茶店を調べていた。店内のポスターによると、弘前は珈琲の街らしい。 上品なママがのんびり作る、ゆで卵入りのホットサンド。愛らしいコーヒーカップから溢れるホイッ
年始、急に思い立って、東北の一番向こう側の青森へ小旅行に出かけることにした。 三連休を2日後に控えた木曜日の夜、いつか泊まりたいと思っていた酸ヶ湯温泉の予約カレンダーに残り1部屋の文字を見つけ、迷わずすぐにおさえる。 いつかの憧れも、動いてみれば存外あっさりと実現するんだな。 連休、青森の天気予報には可愛らしい雪マークが付いている。東北の生まれでも、やっぱり北東北や日本海側のたっぷりとした雪には心が躍るものである。 楽しい旅になりそう。
2022年1月1日。 1年前のこの日、ほんの軽い気持ちで立てた“目標”がある。 「毎日GRで写真を撮って、1日1枚、その日に撮った写真をTwitterにあげる」 そのシンプルなルールに、一体どれほど苦悩させられたのだろう。 昔から、地道にコツコツと物事を続けることが苦手だった。 進研ゼミは本を開いた形跡もないし、夏休みの一行日記は8月21日くらいにプリントを探すところから始まるタイプ。そもそも、進研ゼミって本だったのかな。それすら覚えていない。 そんな私が、よりによって