はじめての音楽
はじめにことわっておきますが
わたしはしょうわうまれです
音楽に興味を持ったのは小学生の頃
軍資金という名のお年玉を集めて
まず、マセガキが出向いたのは質屋さん
家には父親が大切にしているステレオなる物が
有るには有るのですが
なかなか子供には使わせてもらえない
ならば!自分で買うしか無いではないか
と、軍資金でも何とかなりそうな質屋さんへ
その質屋さんは
いつも遊んでいる公園の前にありました
ドキドキしながら「こんにちわー」と入店
「質屋」と書かれた暖簾の奥から
優しそうなおじさんの声
「はい、いらっしゃい」
私を見てびっくりして「今日はどうしたのかな?」
私がしどろもどろと
外から見えるあのレコードプレイヤーが欲しい
そう伝えると
質屋のおじさんは
「お金は足りるからアレは買えるけど
スピーカーって言うのが無いと音が出ないんだよ」
そんな事知らなかった私は
軍資金を握りしめて
「じゃあ、お金貯まるまで
プレイヤーとスピーカーを
取っておいてください!」
と、必死に頼み込みその日は店を出た
そんな私におじさんは
「質屋になんて若い子が来る事ないから
買い物でなくても またおいでよー」
そう、声をかけてくれた
それをまに受ける子供だったので
それからしばらくは お金を貯めながら
ちょこちょこ質屋通いした小学生
そんなある日おじさんが
「どうだい、貯まったかい?」とニコニコ顔
「まだ、ちょっと足りないよ」と私
すると おじさんが奥から古いスピーカーを
出して来て
「コレなら安くしてあげるから どうかね」
「それでも今、まだコレしかないし」と私が
金額を言うと
「いいよ、それで売ってあげるから」
プレイヤーとスピーカー合わせてそれで良いって
おじさんは言ってくれたのでした
私は喜び勇んで家まで走ってお金を取りに行き
公園で遊んでた友達を無理矢理 引き連れて
(荷物持ち要員)
無事はじめての質屋さんでの買い物成功
大荷物を持って家に帰ると
それは当たり前に親がびっくりして
「あんた何!それ!」
「レコード聞くんだもん」
「レコードなんか持ってないでしょう!」
えっ?レコード…
そうだレコードの為の軍資金は無い
その容赦ない親の言葉に凹みながら
子供部屋にプレイヤーとスピーカーを
分からないなりに設置して
ぼーっと少し変わった部屋を眺め
お金貯めよう
そう思った10歳の私
その後近所のスーパーのワゴンセールに
レコード、ミージュックテープのセールが来て
その時買ったのが
布施明さんの「シクラメンのかおり」
それが私が買った
はじめてのレコード(中古なんだけどね)