【映画感想】ONE PIECE FILM RED(ネタバレあり)
※ネタバレあり。幼少期にONE PICEのアニメを見ていた程度のにわかの感想です。
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ONE PICEは小さいころにアニメで観ていた記憶がありますが、ルフィとゾロ、ナミ、サンジ、ウソップ、ロビン、チョッパーくらいしか覚えていない程度のにわかの感想です。
あまりにも好みのストーリーで吐き出さずにいられませんでした!
感想と言いつつも、吐き出しでまとまりもない文章ですみません。書きながら思い出して何度か泣きました。
■映画を見に行った経緯
映画を鑑賞する前日夜。平凡な社畜の私は、土曜日にも関わらず終わらぬ仕事にキレながらAdoさんの「ギラギラ」を聞いておりました。
「メラメラかがやいて、わたしは夜の狼」と唱えながら、タスクも食いちぎってやりたい気分でいっぱいです。そんな中、聴き流していたYouTubeがウタちゃんの「逆光」を流してくれやがりました。
……そうして翌日朝イチには、「ONE PICE FILM RED」の"D列10番"を占領していたというわけです。
お盆のせいか、ここ数年猛威をふるう感染症のせいか。間引きされた少し寂しい席のひとつに着き、さて――。
号泣!!!!!
照明が戻るころには、鼻呼吸できないレベルに泣いてしまっており、トイレで化粧しなおして帰りました……。
■予習情報
完全初見というのが苦手です。
そのため今回も、あらすじや公式から出されているレベルの情報を仕入れてから鑑賞しました。関連曲はPV付きですべて視聴してから臨んでいます。
PVを見た感想は、ウタは父親であるシャンクスに対して「執着しながらも排斥しなければならない」という強迫観念もしくは、処理できない「ままならない感情・事情」を抱えてしまっているような印象でした。
「逆光」→「ウタカタララバイ」→「新時代」→「私は最強」の順番で聴いたのが影響しているかもしれません。
■映画感想
ウタのキャラクター造形が好きだったので、彼女についてあれこれ語るだけです。それでもよければ。
【導入】
(ウタのライブ)
「新時代」→「私は最強」→「逆光」→「ウタカタララバイ」だったと思います。
海賊に奪われてきた者たちの声が重なって、ウタが現れる。わたしが新時代をつくる。嫌なこと全部わすれちゃおう! ここで幸せになろう。ずっとここにいればいい。と観客を沸かせるウタ。
「一生」「永遠に」というワードがしつこいほど出てくるので、「本気なんだな」と思いました。「今日は楽しんでいってね」ではなく「ずっとここで幸せになろう」なんですよね。
本当に耳に残るほど「幸せに」というので、「自分に対する暗示」もしくは「彼女の行動指針」なのだろうと感じました。このあたりから、ある種の強迫観念を感じ始めました。
自分が実行していることに対する盲信。――いえ、盲目的に信じるしかない。考えないようにしている。私を奮い立たせるのは「みんなの願い」。後には引けない。「怖くない」とわざわざ言葉にして歌う彼女は、本当は「怖くて」堪らないのではないか。
そんな風に思いながらも、それがなぜかはよくわからずに話が進んでいきます。もともと「赤髪海賊団の音楽家」を自称し、父親であるシャンクスをあれだけ慕っていた彼女がなぜ……? ルフィと彼女の回想を見る限り、彼女は歌うことが好きであるものの、それと「赤髪海賊団」を比べたとき、歌は勝たない印象がありました。
立ち寄った「エレジア」でなにかあったのだろうけど……。自分たち以外の海賊の所業を目の当たりにして、自分もそれと類似する集団にいることが怖くなったのかな……? とか思っていたのですが……。
【愛のムチだ】
(チキンレース、ウタとルフィの回想)
ここがすごく印象深いシーンになりました。チキンレースに興じる幼い日のルフィとウタ。レースの後に言い争いを始めるふたりを止めるためにシャンクスが言った台詞です。
シャンクスと赤髪海賊団に懐くふたりが可愛い~~。
「愛のムチだ」と聞いた瞬間に鳥肌がたちました。前日に何度も聞いた逆光が「愛ある罰だ」「愛への罰だ」と歌っていたので、「悪党蹴っ飛ばして」の「悪党」は誰なのだろう。「愛ある罰」を受けるのは「誰」なんだろう。
「私は海賊嫌いのウタ!」と言い放つシーンがあるのですが、彼女は海賊を罰しながらも、本当は誰よりも「自分を」罰してほしいのではないか。と思わずにいられませんでした。
【エレジア滅亡の真相】
ウタの夢ってなんだろうって考えながら観ました。
この時点では「みんなの幸せ」「歌(新時代)を通じてみんなを幸せにすること」なんだろうけど、本当に彼女の根幹を支えるのはそれだろうか? と。
ウタとゴードンさんの回想は辛かったです。
ウタに感情移入しながら観ていたので、「君も利用されてたんだ」「だまされたんだ」と言われたときは「この国の人が死んでしまった」ことよりも「人を殺すということに、自分が利用されていた」「自分が愛だと信じ、父だと慕い、家族だと大切に思ってきた人々」に「だまされていた」事実が受け止められなくて、このあたりからずっと泣いてました。
そもそも赤髪海賊団がそんなことをすると思えないのに、目のまえには死んでしまった人がいて、それは自分を利用して行われた略奪行為で。きっとウタは「海賊を憎しみ」ながらも「シャンクスに釈明してほしい」「嘘だっていってほしい」とどこかで思っていたのではないのでしょうか。
「ひとりぼっちはいや」「置いていかれたくない」「ウタの歌は人を幸せにする」「幸せにする」「みんな幸せになりたいんでしょ」「幸せにしなくちゃいけない」「だって私は生きてるんだから」「みんなが必要としてくれる」「なんで幸せじゃないの? 海賊のせいなの?」「私の歌はみんなを幸せにできなかったから、置いていかれたの?」映画を見ながらぐるぐる考えていたことです。
自分の歌は誰かを幸せにするものだ。
おとうさん二人がそう言ってくれたから、彼女は自分の歌を「誰かを幸せにできる」ものにしないといけなかった。だけど、自分を利用して死んでしまったエレジアの人たちは不幸でしかない。それなら同じように海賊に苦しめられている人たちを幸せにしなくちゃ。幸せにしなくちゃいけない。
もう、彼女に叶えられる夢はそれしかない。彼女が希望にできるものはそれしか残っていない。彼女の夢は「みんなを幸せにすること」。
そこに、「エレジアの滅亡は全部自分のせいだ」という事実をウタは知ってしまうわけです。
このあたりは「ウタカタララバイ」がそのまま彼女の葛藤なんでしょうね。やるしかない。もう戻れないの。わたしが救世主にならなきゃいけない。
「わたしの12年間はなんだったの」
すこし曖昧ですが、本当にこれにつきると思いました。彼女は「歌でみんなを幸せにする」という行為をもって、一人だけ生き残ってしまった贖罪をしなければならなかったし、それこそが「ウタの歌は誰かを幸せにする」という言葉を現実にする方法だったから。
このあたり、ゴードンさんが言った「ウタの歌には誰かを幸せにする力がある。それなのにあの子が、あまりにも不憫で(曖昧)」が、切なくてたまらなかった。
誰かを幸せにしたい。純粋にそれを願うほどに、幸せを奪う誰かを人は恨んでしまう。悪党を見つければ、怒りを覚えてしまう。幸せを願えば願うほど、現実から乖離してしまう。それが一途であるほど、ひたむきであるほどに、一人よがりになってしまう。だって、「幸せなんて」主観でしかない。
【ウタの夢】
「赤髪海賊団の音楽家」として「みんなを幸せにしたい」。
最後、それを大好きなお父さんに見守られながら叶えることができたウタが本当に本当に"最強"でした。
ウタ、おかえりなさい。ちゃんと帰ってこれたね。
■ウタについて
「みんなを幸せにしなくちゃいけない」と「みんなからの救いの声に応えたい」「本人の海賊への複雑な感情」がないまぜになって、ギリギリの状態だったんだろうなと思いました。
誰かが死ぬこと、苦しむことに徹底して狼狽えるのところに「幸せにしたい」という信条が貫かれていました。すごく好きなところです。
人は目標や、幸せにしたい誰かがいないと生きづらいと思っています。エレジアに取り残されたことで「夢を取り上げられた」彼女は、本人の夢ではなく「自分にできること」や「周囲が期待すること」にのめり込むことで、なんとか立っていられた。
だからこそ彼女の行動からは、ワクワクドキドキした夢への希望よりも、「しなければならない」という強迫的な焦燥感を受け取ってしまう。
ウタは用意周到にことを運び、海軍や海賊たちまで敵にして"新時代"を創ろうとする。彼女がとても賢くて頭が回るのだろうというのは、チキンレースのやりとりから分かるようになっていました。
すごく感情移入しやすいというか、映画の中でキャラクター性がよくわかるつくりになっていたのが本当に良かったです。
ほんと……本当によかった……。
以上! 読了感謝です。
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