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ミヨ子さん語録 「にか」(新しい)余談

 前項、もとい前々項》の語録「にか」を書いていて思い出した。

 この秋(2024年)に帰省して、半日足らずの「ふるさと再訪」に連れて帰ってあげたとき、ミヨ子さんは深緑のカーディガンを着ていた。その一着は、わたしが子供だった頃、と言えばもう40~50年も前のことだが、当時からとても大切に着ていて年をとってからも着続けていたものだ。

 この日のお出かけ着は、たぶん入居中の施設(グループホーム)の職員さんが見繕ってくれたのだと思うが、なぜこの一着だったのか。もしミヨ子さんに「どれを着ていきますか」と尋ねてくれて、ミヨ子さんが選んだのだとしたら、「やっぱり」という気もする。

 お気に入りのカーディガンを着て、カーディガン姿のミヨ子さんはいつもよりしゃっきりと、おしゃれに見えた。娘のわたしがそのカーディガンを見慣れていることと、ある種の思い入れがあるせいもあるだろうが。その様子は「帰省余話(2024秋 15) 海が見えるテーブル」に使った写真で、朗らかに笑っているミヨ子さんの姿から窺える(同じ写真を再掲します)。

 このカーディガンについては、1年ほど前(2023年)、ミヨ子さんの(主に若かったころの)「おしゃれ」をテーマに続けて書いたとき、「(10) カーディガン」で詳しく述べた。あらためてミヨ子さんの物持ちのよさに驚く。

 ほんとうは95歳という年齢を考えると、もう「にか」衣類など必要はないからとも言えるが、それだけの話でもないようにも思う。「ふんのか」(古い)ものでも丁寧に使う。エコとかSDGsとかよりもっと前から、ミヨ子さんたちは身の回りのもの、地球上のものを大切にしていたのだ。

 それは日本人のみならず、人類が営々と続けてきたことのはずだ。なぜ、どこで違う方向に走っていってしまったのか。わたしたちはよくよく考えてみるべきだろう。

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