最近のミヨ子さん 退院の先には?
鹿児島の農村で昭和5(1930)年に生まれ、今年(2024年)6月末介護施設に入所したミヨ子さん(母)の体調に異変が生じた。施設(グループホーム)提携先の病院から救急搬送され鹿児島市立病院に入院したが、根本原因は脱水だった。つまり施設での日常の水分摂取が不足していた、ということだ。
定員9名(1棟当たり)の施設には、管理者以外に昼間3人、夜間1人の職員さんがいる(ことになっている)。職員さんは食事の支度や洗濯など家事的なこともしているので、入所者すべてに目配りができているわけではないだろう。車椅子のミヨ子さんはただでさえ他の人より手がかかる。トイレも一人では行けない。適量適時の水分摂取まで、こまめにケアはできないだろう。
そもそもグループホームは、ある程度自立生活のできる人たちが共同生活する、という施設だ。寝たきりの人は論外で、車椅子であってもある程度自分で操作ができる人が基本だろう。――というようなことは理解できるのだが、だったら施設側も受け入れなくてよかったのではないか、と娘としては思う。
「体調異変、その後」で述べたようにミヨ子さんは目下入院中だが、回復したらどうなるのか。危機的な状況に至らずすみそうだ、とわかって安堵したあと、わたしが次に気になったのはそのことだった。
ミヨ子さんの入院に付き添ってくれたお嫁さん(義姉)に当日の様子を通話で聞いたとき、お嫁さんはまず「カズアキさん(兄)とも話したんだけど」と断ったあと、「(これまでの)グループホームにはもう戻さないから」と言った。お嫁さんによれば、入院前に診察をしてくれた医師からこんな話があったという。
・状態が落ち着いたら、施設ではなく長期療養ができる病院へ転院するようお勧めする。
・年齢的にも、今後も急な体調異変がいつ起きてもおかしくない。例えばすぐに心臓マッサージに対応できるような施設にいたほうがいい。
・「暮らす」タイプの施設は無理だろう。
転院先としてカズアキさんたちは、自宅がある地域の療養受入れ可能な病院を考えているようだった。その候補にはこれまでいた施設と提携している病院も含まれる。家からの近さからいうとそこになる可能性が高いように思われた。
病院から病院へ。そして病院で最期を迎える。現代ニッポンの、ある意味ふつうの老後のプロセスを、ミヨ子さんも辿ることになるのだろう――か。