つぶやき 手放す(2 卓袱台)後編
(前編より続く)
わたし自身、終活準備としてもう数年前から不用品買取などの情報に気をつけてはいたが、あるサイトで、地域限定に近い不用品のやりとりをサポートしていることを知った。そこに実際に登録するのまでにかなりの期間を要したものの、「今年中に手放す」という目標をクリアすることに決めて、サイトにこの子を登録したのであった。
このサイトは自分で値段を決めて物品などの情報や写真を公開し、興味を持った人と連絡を取り合いながら、譲る相手を決めていく形だ。思いがけずこの子にも数人の方からお問合せをいただき、そのうちの一人の方にお譲りすることが決まった。
なにせ卓袱台なので気軽に送るわけにもいかず、こちらの希望で引き取りに来てもらった。サイト上でメッセージのやり取りでしか知らなかったその方は、この子を一目見て気に入ってくださった。まあ、自分で言うのもなんだが、保存状態も管理もけっこうよかったというのもある。が、もともといい品物だったことが大きいと思う。
そうして、秋の某日、この子はわが家から知らない土地へ嫁に出された。
嫁入り後のあの子がどんな暮らしをするのか、見当はつかない。新しいおうちでかわいがってもらえたらいいなとは思うが、あずかり知らぬことだ。
ちなみに、数年前持ち物の整理をするときにまとめて買い込んだ段ボール製の整理箱も数枚余っていた。すでに使っている整理箱の中身を今後処分することはあっても、あらたに整理箱を使うことはないだろうと、新品で畳んだ状態のままの整理箱も、「おまけ」に持って行ってもらった。だから、「手放す」作業は「3」まで進んだとも言える。
こうして、少しずつ身軽になっていき、数年うちにはほぼ最低限必要なものだけを置いた生活にできたらと夢想している。もちろん、そううまくコトが運ぶとは限らないし、そもそもわたしが使うものしかないわけでもない。
道は遠い。でも、手放していった(いく)ものたちが少しずつでも誰かの役に立てば、それもまたちいさな社会貢献だろうと、ひそかに喜んでいる。何より、エコである!