最近のミヨ子さん 2回目の面会

 昭和の鹿児島の農村。昭和5(1930)年生まれのミヨ子さん(母)の来し方を中心に、庶民の暮らしぶりを綴ってきた。

 たまにミヨ子さんの近況をメモ代わりに書いているのだが、このところは、10年ほど息子のカズアキさん(兄)一家と同居してきたミヨ子さんが、脚力の極端な低下をきっかけに、バタバタと介護施設へ入所するまでとその後を、ずっと述べてきている。これらも昭和を生きた女性の記録のようなものだ。

 直近では、カズアキさん夫婦が面会に行ったこととそれについての印象を書いた。

 動画を送ってくれるのはもちろんありがたいが、「わたしも声を聴きたい、話したい」という気持ちを抑えきれず、カズアキさんに「次の面会のときは話をさせてもらいたい」とメッセージを送ったところ、「明日の午後また行くから」と返信があった。つまり2日続けて面会に行くようだ。

 翌日は週末。電話が来たらビデオ通話に切り替えてもらおうとスタンバイしていた。

 やっとカズアキさんから電話が来た。開口一番
「さっき施設に行ったんだけど、母ちゃんはコロナにかかってて、面会できなかった」
「なぁ!?」

 この「なぁ!?」というのは、いま聞いた話や目の前の状況に驚き、否定したいニュアンスで反応するときの鹿児島弁で、アクセントは「な」にある。標準語(?)の「うっそー!?」に近い。

 カズアキさんの話によれば、ミヨ子さんが朝38℃ほどに発熱していたので(おそらく施設と提携している病院の医師に来てもらい)調べたところ、新型コロナだとわかったらしい。軽症で、薬を投与され熱も36℃台に下がり、いまは落ち着いている、食欲もある、とのこと。

 どうやら、施設のスタッフの家族が新型コロナに感染していたようで、その人から広がっているらしい。ほかの入所者さんも二人ほど感染しているようだ。(すべて電話時点での話である)

「そういうわけで、面会できなかったから。」
と通話を終えようとするカズアキさんに
「大丈夫かなぁ」とつぶやくとき
「大丈夫だよ、軽症だって言ったろ!」と怒られた。そして
「1週間ぐらいしたらまた行ってみる。その頃には治ってるだろう」
電話は切れた……。

 コロナ。

 カズアキさんも話していたが、ミヨ子さんのコロナ感染は2回目だ。1回目は2年前の8月、デイサービス施設で感染した〈257〉。そしてカズアキさん一家もことごとく感染し、数日高熱に悩まされたという。
「いちばん感染リスクが低いはずのお義母さんが、いちばんにかかっちゃって」
と、お嫁さん(義姉)が言っていたことを思い出す。

 今回も幸いひどくはないようだが、お年寄りにとって呼吸器系の病気は怖い。早く良くなって、と祈ることしかできないのがもどかしい。

〈257〉1回目の新型コロナ感染のことは「今日のミヨ子さん(新型コロナ感染)」(2022年8月17日掲載)で述べた。

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