最近のミヨ子さん 介護施設入所後、その十二

その十一より続く)
 昭和5(1930)年生れのミヨ子さん(母)は、今年の6月末介護施設に入所、その直後新型コロナに感染したあと、ほかの感染症などのため7月18日に鹿児島市立病院に緊急搬送された。治療の甲斐あって、施設入居まで同居していた息子・カズアキさん(兄)宅からほど近い地域の病院に、8月8日にようやく転院できた。その経緯とわたしの感慨は「その十一」までに述べた。実の娘なのにほとんどできることがなく、無念でならないという気持ちも。

8月11日(日)ミヨ子さんの様子がわからないまま、絵ハガキを認める。
 手紙類を含む私物は、病室には置いておけない規則だ。面会のときにハガキを読める時間があるか、そもそもミヨ子さん自身どの程度読めるのかわからないのと、お嫁さん(義姉)に持って行ってもらう――つまり内容がまるわかり――という事情もあり、たいしたことは書けない。気分はどうか、しっかりご飯を食べて早く良くなってほしい、また必ず会いに行くから元気になって、ぐらいのものだ。

 8日に転院したばかり、面会は週1回までという規定らしいので、しばらくは面会できないはず。次の面会に持って行ってもらえるよう、遅すぎたということがないよう、レターパックで送ることにする。

 昭和ど真ん中のわたしが、昭和ひと桁のミヨ子さんへ気持ちを伝えたいときは、カズアキさんやお嫁さんのスマホを借りたいほど急いだり、タイミングを特定したりするとき以外は、手紙やハガキを送ることがほとんどだった。手紙やハガキはいい。時間を縛られないし、何回でも読み直せる。手書きの文字だとなお温かい。

 しかし、2021年10月の郵便法改正により土曜日の集配業務がなくなり、普通郵便に日数がかかるようになった。うまくいけば首都圏から投函して3日目には鹿児島に届いていた普通郵便が、1週間ほどかかることもザラだ(所要概ね5日くらいだが、週末や祝日が間に入るかにもよる)。

 だから、普通にハガキを出して1週間かかってしまっては、次の面会に間に合わないかもしれない。そもそも次の面会がいつかもわからないが、だからと言って「また」ハガキだけを速達で出すのは憚られるし、ちょっとバカバカしい。速達料金だけで260円もかかるのだから!

 封書の速達、ということも考えたが、ミヨ子さんがベッドで読める文章量は限られるだろうし、郵便料金も84円+260円=344円とけっこうかかる。そこでレターパックにしたのだった。レターパックなら安いほうの「ライト」(370円)でもある程度のモノが入れられるし、受取印もいらない。

 わたしはミヨ子さん宛ての絵ハガキのほかに、お嫁さん(義姉)への手紙を認めた。最近夏バテ気味というお嫁さんに向けて、近くの輸入食品店で目についた、暑い時期向けのちょっとした食品も入れた。もちろんレターパックライトの規定(厚さ、重さ)を超えないことを見越して買ったものだ。

8月11日 日曜日(山の日でもある)だったが、大きな集配局から投函した。ここで早めの時間に投函すると集配が比較的スムーズであることを、経験的に知っているのだ。

翌8月12日(月)、前日「山の日」の振替休日。
 前日に投函したレターパックを、ときどきインターネット上で追跡する。午後3時前に受付されたそれは、11時間ほどで鹿児島市郊外の配達局に届いており、配達に向けて準備中のようだった。レターパックは「速い」がここまで速いのも珍しい。なんだかいいことがありそうな気がする。(その十三へ続く)

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