あのこは貴族
素晴らしいとしか言いようがない…!
今までずーっと心の片隅で燻ってた部分が、この本を読んだらスカーーーーッと晴れた感じ。.
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東京生まれの箱入り娘v.s.地方生まれの雑草系女子という文言が帯にはあるけれど、実際に描かれているのは、"生粋のお嬢様の、マジな悩み"。その、お嬢様ライフの描き方もリアルだし、おぼっちゃまたちの嫌らしさも如実に描かれてる。(『軽薄なパステルカラーのポロシャツ着て、バミューダパンツはいてすね出してるの。あの格好なに?』『小金持ってる30代の男ってみんなそうだよ。』←(笑)
華子は資産家の家に生まれ、苦労知らずで働きもせず、養ってくれる結婚相手をさがすことしかしない。ともすれば、イヤミなキャラクター設定だけれども、周りに流されながらも自分の悩みに真剣に向き合っているから非常に好感が持てる。
周りに流されている風を装って、根本的なところでは(かろうじてではあるけれど)自分を確立しようとしているから、ヒロインになれたのだろう。
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"スノッブな文化圏にいる人も、地方のマイルドヤンキーも、狭い世界で生きてるって点では全く同じである"という視点から、セレブ凄い羨ましいみたいな一元化された価値観へのライトな挑発のように思えた。
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多分、この作者は"なんでみんな同じじゃなきゃいけないの?"って思って生きてきたんだと思う。そういう類の、熟成された怒りのようなものが、物語の根底にある気がした。(考えすぎ?)
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家族とも学友とも価値観が合わず、小・中・高と、連れてこられた宇宙人(異星人?)みたいな気持ちで毎日過ごした十数年。
大人になったらその気持ちを言語化することができたけど、36年間誰とも共感できなかった気持ちを、華子や相楽さんや美紀と存分に共有し、共感し合い、やっと巡り合えた運命の親友!みたいな気持ちで読んだ。10冊買いたい!! ちょっと橋本治を彷彿とさせる文体も良かった。
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