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甘すぎる新型コロナワクチン承認、国会議員通した厚労省の回答

mRNAワクチンは(レプリコンも)緊急事態が過ぎ去った今も、従来の薬品より大幅に甘い承認手続きが取られています。新製品に切り替わった時、従来の薬品では新規で臨床試験や毒性試験など必要とされてきました。しかし、mRNAワクチンでは最初に(武漢株で)承認されれば、あとはmRNAを構成するアミノ酸は同じだし新製品扱いしなくて良いことにする(臨床試験も求めない)という異例の扱いになっています。本当はmRNAはアミノ酸で設計図が書かれているだけで、体内の細胞で生成されるたんぱく質が変われば「成分変更」として扱うべきなのですが、その様にはなっていません。成分変更扱いにすると、いちいち臨床試験など時間がかかってしまうため、変則的にグレーのまま、同じコロナ用のmRNAなら同じ薬扱いで良い、「成分変更」は無い、用法の変更や製造方法の変更ということにしておけばよい、という扱いにしているのです。しかしこれでは従来の薬品の様な十分な効果と安全性の質は保証されません。緊急時にはやむを得なかったかもしれませんが、今は緊急時とは言えない中、国民に対して何の説明も無く、こっそりやっているのは不誠実だと思います。やるならば、十分な国民への説明の上、mRNAに関しては特例とする旨、薬機法を改正してやるべきです。レプリコンもJN.1対応新製品に関して、武漢株用からの成分変更は無い扱いで「一部(成分でなく用法・用途)変更承認」で通してます。レプリコンに抗議したい方々は、シェディングなど科学的エビデンスの無い事柄でなく、正当にこの甘すぎる承認プロセスを糾弾すべきではないのでしょうか。
httpswww.meiji-seika-pharma.co.jppressrelease2024detailpdf240913_02.pdf


BA.1オミクロン株対応二価ワクチン承認についての疑問

・新規の特例承認では無く、一部変更による特例承認が行われたということで間違いないか。

・ファイザー、モデルナ両社から成分変更の申請は無く、効能効果・用法用量変更の申請しか出ておらず、効能効果・用法用量変更のみで一部変更による特例承認し、販売可能にしたということは、厚労省としてはオミクロン株対応二価ワクチンは武漢株ワクチンから成分変更は無いという認識か?

・成分変更が無いという認識なら、その根拠は?
9月12日の審議会でファイザー社は「有効成分が1価ワクチンのときのトジナメランに加えまして、2価ワクチンはリルトジナメランが追加になっております。」、モデルナ社は「有効成分はこれまでのエラソメランに加えまして、オミクロンのBA.1に対応いたしましたイムエラソメランが追加になっております。」と、薬品名が新たにつけられたオミクロン株用mRNAが有効成分として追加になったとの発言があり、矛盾するのではないか?
生成されるスパイクタンパク質が異なれば、大きくその性質が変わることが変異株による病原性の違いでも表れているが、なぜ成分の変更は無いと判断したのか。

親薬品(今回は武漢株用ワクチン)からの同一性の有無は総合的に判断されるが、一般的に有効成分変更の有無は承認される薬品の親薬品からの同一性の判断に大きく寄与することは間違いないか?
今回のオミクロン株対応二価ワクチン承認においても、有効成分の変更は無いと判断されたことが、「武漢株用ワクチンと同一性が保たれている」という重要な根拠になっているか?


・あるいは、もし今回、有効成分の変更はあるという認識なら、なぜ一部変更承認時に効能効果・用法用量変更のみの承認と発表したか。また、おおむね(原則として)有効成分の変更が有る場合は新規承認によると条文で示されているにも関わらず、総合的に判断して同一性があると判断した根拠は何か。

・今回は武漢株用ワクチンから同一性が失われていないと判断したので一部変更承認による特例承認だったということで間違いないか?
仮に同一性が失われたと判断された場合は新規承認が必要であったということで間違いないか?


新規特例承認と一部変更による特例承認における、提出及び評価が必要な項目の違いについて

https://www.pmda.go.jp/drugs/2022/P20220912001/672212000_30400AMX00016_A100_1.pdf

https://www.pmda.go.jp/drugs/2022/P20220912003/790314000_30300AMX00461_A100_1.pdf
①実験動物等による、非臨床薬理試験及び非臨床薬物動態試験、②毒性試験は新規承認の場合は資料提出・評価は必要であるが、一変承認の場合は必要ない、ということで間違いないか。

③臨床的有効性及び臨床的安全性は一変承認の場合でも資料提出・評価は必要なのか。今回ファイザー社は56歳以上のみ、モデルナ社は18歳以上のみ(論文における実際の最低年齢は20歳)の比較的少数症例の臨床試験の提出であるが、新規承認の場合と一変承認の場合で求められる症例数の規模や対象年齢の範囲など差はあるのか。今回は新規承認でなく、一変承認であるから二価ワクチンの臨床試験データの無い年齢層にも接種可能と判断したのか。

その他、新規特例承認と一部変更による特例承認における、提出及び評価が必要な項目の違いは何があるか。

BA.5オミクロン株対応ワクチン承認について

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28280.html

「オミクロンBA.4/5株対応の2価ワクチンの薬事申請がなされた場合、当該申請は、効能・効果、用法・用量の変更に該当する変更とはならず、製造方法の変更の一部変更承認申請となる見込みであります」

「亜系統での変異であれば株の抗原性が大きく異ならないことから、亜系統の変異株に対する各ワクチンの免疫原性も大きく異ならないということが想定されます。したがいまして、オミクロンBA.1株対応の2価ワクチンにおいて、臨床データも含めた評価がなされていることを前提に、オミクロンBA.4/5株対応の2価ワクチンにおいては、欧米同様臨床データがなくとも評価は可能と考えられます。」
と議事録に記載があります。

同じオミクロン「亜系統」であれば、成分変更の扱いは無いのはもちろん、効果効能・用法用量の変更でも無く、製造方法の変更のみとする根拠は何か?
一方で、武漢株からオミクロン株なら効果効能・用法用量の変更扱い、なのはどういう根拠か。便宜上デルタ、オミクロンなどの命名をしているが、あらゆる変異株は初代の武漢株からの「亜系統」とも言え、主としてスパイク蛋白のエピトープ(部位)がどの程度変異しているかの違いである。どの程度のスパイク蛋白のエピトープが変異したら、どのような変更扱いとすべきかの基準と根拠を教えて頂きたい。

厚労省の回答

以下、山田勝彦議員に厚労省に問い合わせて頂いた、厚労省の回答です。
なお、厚労省の回答はどなたでも私や山田勝彦議員に承諾は要りませんので自由に使って下さい、ジャーナリストや議員さんでソースが希望でしたらご連絡ください。

オミクロン株対応ワクチン承認に関する質問回答
○BA.1オミクロン株対応二価ワクチン承認、及び新規特例承認と一部変更による特例承認における、提出 及び評価が必要な項目の違いについて

9月12日に特例承認を行ったオミクロン株(BA.1)対応2価ワクチンも、従来からの起源株(武漢株) 用ワクチンも、いずれもSARS-CoV-2のスパイクタンパク質をコードするmRNA を成分としています。 オミクロン株(BA.1)対応2価ワクチンでは、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質をコードするmRNAの 内訳としてオミクロン株(BA.1)のスパイクタンパク質をコードするmRNAが追加されていますが、本 ワクチンの組成全体から見た差異の程度や mRNA ワクチン技術に関する科学的知見等を総合的に勘案 し、新規の申請ではなく、株の変更に伴って効能効果の記載に変更が生じること等による承認事項一部 変更として申請を受け、承認したものです。なお、本ワクチンは、欧州においても承認事項一部変更と して扱われており、また、米国においては緊急使用許可(EUA)の一部改訂として扱われているものと 承知しています。 承認審査にあたって必要なデータは当該承認申請の内容に基づきケースバイケースで異なりますが、 オミクロン株(BA.1)対応2価ワクチンの審査においては、有効性に関しては、オミクロン株に対する 中和抗体価が起源株用ワクチンよりも高いこと、安全性に関しては、起源株用ワクチンと同様に許容可 能であることを評価して承認を行っており、これまでに承認を行ってきた新型コロナワクチンと比較 して有効性や安全性の要求水準が劣るものではありません。 また、オミクロン株(BA.1)対応2価ワクチンの接種対象年齢については、「新型コロナウイルス(SARS CoV-2)ワクチンの評価に関する考え方(補遺1)変異株に対するワクチンの評価について」(※)にお いて、単一の年齢層で実施した変異株ワクチンの臨床試験の結果は、一般的に、親ワクチンで承認され ている他の年齢層に外挿可能とされていることから、今回、親ワクチン(起源株用ワクチン)の追加免 疫の接種対象年齢と同様に設定しています。 ※ 令和3年4月5日付けで独立行政法人医薬品医療機器総合機構ワクチン等審査部より発出
○BA.5オミクロン株対応ワクチン承認について 
新型コロナウイルスの公衆衛生上懸念される変異株(VOC)に対するワクチンのうち、同一VOC内の亜系統間の株変更については、ウイルスの抗原性が大きく異ならず、株変更前後のワクチンで得られる免 疫原性も大きく異ならないことが想定されることから、異なるVOC 間の変異の場合には効能効果、用法用量の変更、同一VOC内の亜系統間での変異の場合には製造方法の変更として扱っています。 なお、現時点の対応状況は以上のとおりですが、今後とも、新型コロナウイルスやワクチンに関する科学 的知見の進展を踏まえて適切に対応してまいります。

有効成分の変更は無かったという扱いなのか、という一番大事な問いに対して、あえて明言を避けているようにも思ったので再度厚労省に問い合わせて頂きました。
〈再質問〉
【オミクロン株(BA.1)対応2価ワクチンでは、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質をコードするmRNAの内訳としてオミクロン株(BA.1)のスパイクタンパク質をコードするmRNAが追加されていますが、本ワクチンの組成全体から見た差異の程度やmRNAワクチン技術に関する科学的知見等を総合的に勘案し、新規の申請ではなく、株の変更に伴って効能効果の記載に変更が生じること等による承認事項一部変更としての申請を受け、承認したものです。】
とあるが、つまり成分変更はあったのか?


回答内容からすると
➀有効成分は変更しているが、程度が少なくほぼ同一という判断をしたのか。
②同じmRNAワクチンであることから、有効成分は変更していないという判断なのか。
どちらなのか?お答えください。



【回答】
従来の起源株対応の1価ワクチンが有効成分としてSARS-CoV-2の起源株のスパイクタンパク質をコードするmRNAのみを含むのに対し、オミクロン株(BA.1)対応2価ワクチンは起源株とオミクロン株(BA.1)のそれぞれのスパイクタンパク質をコードするmRNAを含むよう変更されています。ただし、本ワクチンの組成全体から見た両者の差異の程度等を総合的に勘案し、新規の申請として取り扱うほどの差異には当たらず、株の変更に伴って効能効果の記載に変更が生じること等による承認事項一部変更として申請を受け、承認したものです。


厚生労働省医薬品審査管理課 〇〇

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厚生労働省 医薬・生活衛生局 
医薬品審査管理課  主査
  〇〇 〇〇 
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
電話  03-〇〇-1111(内線2745) 03-〇〇-2431(直通)
FAX  〇〇
E-mail : 〇〇

以上の回答からも、私が本記事冒頭で説明した通りなのだという事が分かります。

「異なるVOC(変異株名) 間の変異の場合には効能効果、用法用量の変更、同一VOC(変異株名)内の亜系統間での変異の場合には製造方法の変更として扱っています。 」➡製造方法の変更って、無理矢理過ぎませんか?
一番問題なのは、ここです➡「総合的に勘案し、新規の申請として取り扱うほどの差異には当たらず、株の変更に伴って効能効果の記載に変更が生じること等による承認事項一部変更として申請を受け、承認したものです。」
従来あれだけ厳しかった薬品承認ですが、なぜ厚労省はmRNAにはこんなに甘くなってしまったのでしょう。一番問題なのは、厚労省が「総合的に勘案」して成分変更では無い、と判断したらそれで良いという事なのです。ブラックボックスです。厚労省が「総合的に勘案」とだけ説明すればいいような、基準も曖昧で、好きなように判断できる仕組みが問題です。第三者によるチェックもありません。mRNAの設計図変更は体内の細胞で生成される成分が変わるのに、成分変更として扱わなくて良いのか、国会で追及して頂きたいです。新製品が出るたびに用法の変更だ、製造方法の変更だなんて、本来はそういう趣旨の薬機法では無かったはずです。無理の有る、限度を超えた拡大解釈だと思います。


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