地域別最低賃金が常に全国最低 or 全国最低+1 円であり続ける宮崎県。だが、この数字を単に引き上げるだけでは宮崎に幸せな未来はない。
地域別最低賃金というのが各都道府県によって毎年定められています。宮崎県においては、これが過去5年間において、全国47都道府県中最低か全国最低+1円という低水準で停滞しています。
地域別最低賃金は公益代表、労働者代表、使用者代表の各同数の委員で構成される最低賃金審議会において議論の上、都道府県労働局長が決定します。
Q2 最低賃金は誰がどのように決めているのですか。|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
出馬を断念した横峯良郎氏は、この部分を大きく取り上げ、最低賃金を引き上げることで宮崎の活性化を訴えていました。すでにポスターもそれを全面に押し出して展開するつもりだったそうです。
出馬断念の横峯良郎氏が幻のポスター公開「4年後に使う」と再挑戦に意欲…体調不良で宮崎県知事選を断念(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース
ただ、個人的には無理やり宮崎の最低賃金を上げても宮崎の労働者は幸せにならないどころか、県としては衰退を早めることになるのではないかと思います。
もし来年宮崎の最低賃金が1300円になったり、共産党が主張するような全国一律賃金となったとしたら、多くの真面目な地場の経営者は事業の継続を断念するでしょうし、県外資本の宮崎で展開する企業は宮崎から撤退するという判断が相次ぐはずです。
政治がテレビなどで語られる際は、どうしても労働者側の近視眼的ポピュリズムで語られることが多くなりますが、宮崎で本当に豊かな労働者を増やし幸せな未来をつくるためには、大企業の経営者の視点も必要です。
現職の河野俊嗣宮崎県政下では、宮崎の地域別最低賃金が現状水準でも、大企業の宮崎支店の撤退などは相次いでいます。ましてや、東京や大阪の企業と同じ水準を払わなけれなならないのだとしたら、その流れは加速してしまうでしょう。
宮崎という日本国内で大消費地圏から一番アクセスの悪いとさえ言える事業環境、人材のレベルも他県と比べそれほど高いとは言えない(むしろ低い)地域で、最も固定費のかかる人件費を単純に高くしろと決定されることは経営者の合理的な判断としては「その地域では展開しない」、という判断になるはずです。
他県と比べて事業環境が極めて悪い地域で、人材レベルも高くない地域に、経営基盤の安定した大企業の経営者を呼び込み、安定した雇用を作るためには、まずは固定を抑えるため人件費が低い水準であることが動機づけになるはずですが、宮崎では長年にわたり全国最低水準の賃金であるにも関わらず、ほとんど大企業が呼び込めていません。それ以上の優遇などの魅力が必要です。
企業にとって人件費以上の魅力が、法人税の減税免除なのか、社会保険料の負担軽減なのか、設備投資の補助金や減税なのか、あるいはそれ以外のものなのか、それははっきりとはわかりませんが、それを真剣に探していく必要があるように思います。
宮崎県は以前の記事で述べたように、大企業従業者数よりも県職員数のほうが多い地域で、公務員が民間の事業を卑下するような傾向も大きい地域と感じています。「経営者に賃金を上げさせる」というような発想ではなく、頭を地面に擦りつけてでも大企業の方々に来ていただく、という意識で宮崎の産業構造は変えていくトップであって欲しいものです。
これまでがそうでなかったように、総務省出身の役人がトップであると難しいとは思いますが。