死んだ兵士が残したものは・・・ アメリカで広がるイスラエル批判
2月29日、ガザ地区北部ガザシティ近郊で支援物資を待っている人々にイスラエル軍が発砲し、少なくとも112人が犠牲になったとガザの保健当局は発表した。また、保健当局は同時に、昨年10月7日以来のガザでの死者数が3万139人になったことを明らかにしている。その多数がハマスとは関係のない、武器をもたない無辜の子どもたちや女性たちだ。ガザの保健当局の報告によれば、昨日までに13、230人の子どもたちと、8、860人の女性たちが死亡した。
イスラエルの安全保障の後ろ盾であるアメリカでも、イスラエルによるガザ攻撃への疑問や反発の声が広がっている。
2月25日、アメリカの首都ワシントンDCのイスラエル大使館の前で、米空軍所属のアーロン・ブシュネル氏(25)が焼身自殺を図り、自身が焼身する姿を生で配信しながら、「ジェノサイドの共犯にならない。パレスチナに自由を」などと叫んだ。ブシュネル氏は、アメリカの社会正義を唱道するソーシャルメディアから強い影響を受けていたと言われている。彼はまた焼身する前に「私はもうジェノサイドに加担しない。私はこれから過激な抗議行動をするが、(イスラエルの)植民地支配者の手によってパレスチナの人々が経験していることに比べれば、まったく過激ではない。イスラエルのジェノサイドも、私の焼身もこの国の指導者たちが問題ない、ノーマルと判断したことだ」と語った。
2月27日にミシガン州で行われた民主党大統領候補の指名争いの予備選では、バイデン大統領が勝利したものの、投票用紙の「支持候補なし」の項目を選択した人が13.2%に及んだ。アラブ系住民や民主党左派はバイデン政権のイスラエル政策に幻滅している。冒頭のようにガザ地区で多数の死者が出る中で、バイデン政権はイスラエルのガザ攻撃を容認し、イスラエルへの武器供与を継続、さらには国連安保理や総会では停戦決議案に拒否権を行使したり、反対票を投じたりしている。焼身自殺したブシュネル氏の言葉を借りれば、アメリカはイスラエルによるジェノサイドの共犯になっていることはまぎれもないだろう。アラブ系住民たちは「支持候補なし」を選択することで、バイデン政権のイスラエルに軍事的に協力する姿勢に圧力をかけてその変更を求めている。
ガザへの食料など援助物資の輸送も厳しい状況になっている。27日、国連人道問題調整事務所(OCHA)は、イスラエルが2月にガザへの援助トラックの搬入を1月分の半分しか認めなかったと報告した。同日、ガザ北部のカマル・アドワン病院で2人の乳児が脱水症状と栄養失調で亡くなったとパレスチナの保健当局は発表した。ガザ北部には現在でも約15万人が避難をせずに残って生活しているが、イスラエルの攻撃があるため、援助トラックはガザ北部に入ることができない。そのため、ガザ北部の住民たちは飢餓に直面するようになっている。
アメリカの黒人活動家の中には、パレスチナ人との連帯を表明し、かつての彼らの被差別の体験に重ね合わせる人々も現れている。2020年の大統領選挙でZ世代はバイデン候補の当選に重要な役割を果たしたが、ガザ戦争に対するバイデン大統領の姿勢によって自分たちの声がホワイトハウスに届いていないと思うようになっている。Z世代をはじめ民主党員の中にはトランプ候補に投票しないまでも、投票を棄権したり、第3党に投票することを考えたりする人も少なからず現れるようになった。バイデン大統領の再選は、イスラエルの非人道的なガザ攻撃によって危うくなっている。アメリカのイスラエルに対する揺らぎない支持や支援も、ネタニヤフ政権の強硬な姿勢に反発するアメリカ世論の高まりを受けて何らかの変化を余儀なくされていることは確かだ。
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