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ガザを広島や長崎のようにすべき ―ガザ攻撃という「テロリズム」
アメリカ共和党のティム・ウォルバーグ下院議員は3月25日、ミシガン州ダンディで開かれた集会で、ガザを広島や長崎のようにすべきだと発言した。ウォルバーグ議員はイスラエルを絶対的に支持するキリスト教原理主義の元牧師で、シカゴで反ゲイ団体を運営していたこともある。ウォルバーグ議員はガザの「人道支援に一銭も使うべきではない。ガザに送られるアメリカの援助金はロシア、中国、北朝鮮に利益をもたらすだろう。また、ロシア、中国、あるいは北朝鮮がハマスを助けている。」とも述べた。典型的な陰謀論のような発想だが、心ない、人としての優しさを感じない発言だ。
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ウォルバーグ議員の発言は、広島や長崎への原爆投下が戦争終結を早め、米兵などに多くの犠牲者が出ることを救ったというアメリカにある通論に従ったのだろう。
アメリカ人作家のスーザン・サザードさんは、「Nagasaki: Life After Nuclear War」を2016年に出版したが、多くのアメリカ人が歴史の授業では、広島・長崎への原爆投下が戦争の終結を早めたと教えられるが、それにはなんの根拠もなく、冷戦時代の核軍拡を進めることに国民の支持を得るための政府の意図が背景にあり、このような政府の主張によって、広島・長崎で実際に起こったことからアメリカ人たちは注意が向かず、いまだに核軍拡を支持する要因となっているとサザードさんは訴えている。
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サザードさんの著書「Nagasaki」は、サザードさんが親交があった谷口稜曄(すみてる)さんら5人の長崎の被爆者たちの苦難に満ちた戦後を描いたものだが、サザードさんは、真珠湾攻撃、日本の中国での残虐行為は確かにあったものの、アメリカは日本の66の都市を空爆し、668、000人の市民を殺害し、長崎では1945年の末までに原爆で74,000人の男女・子どもが亡くなったが、そのうち軍関係者はわずかに150人であったことを指摘し、これは現在では「テロリズム」と呼ぶべきものではないかと語る。
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同様にガザ住民3万2000人以上を殺害し、ナチス・ドイツのように住民を飢餓に置くのもの「テロリズム」だ。ドイツ出身のユダヤ人哲学者ハンナ・アーレント(1906~1975年)は、1948年にイスラエルのへルート党(修正シオニズムに基づく政党)の党首メナヘム・ベギンが党の活動資金調達のために訪米すると、物理学者のアインシュタインなどと共に「ニューヨーク・タイムズ」に意見広告を出し、「今日、へルートは自由、民主主義、反帝国主義を説くが、つい最近まではファシスト国家のイデオロギーを公然と喧伝していた。その手段はテロリズムと虚偽の宣伝であり、イスラエルが覇権国家になることがその目的である」と訴えた。
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アーレントが「ファシスト」と呼んだネタニヤフ首相など「修正主義者」たちは現在、一般市民の多数の犠牲を伴うテロリズムに等しいガザ攻撃と、UNRWA職員にハマスのメンバーがいるなどの虚偽宣伝で、イスラエルが覇権国家になることを目指している。イスラエルの極右勢力は占領地でパレスチナ人の住宅を襲撃し、イスラエル国内のパレスチナ人にテロを行い、パレスチナ人とイスラエルの緊張の種を蒔き続ける。まさにアーレントが予見し、危惧したような事態となっている。
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昨年11月にファシスト的考えをもつイスラエルのアミハイ・エリヤフ・エルサレム問題・遺産相は5日、ガザに核爆弾を投下するのも選択肢の一つだと発言し、ガザの住民たちはアイルランドか、砂漠に移住させるべきだと述べ、パレスチナ旗やハマス旗を振る者は地球上に存在すべきではないと語った。エリヤフ氏はイスラエル極右「ユダヤの力」の党員で、パレスチナ人に対するヘイトを煽る発言を繰り返し、人種主義的な性格をもつ人物だ。広島や長崎の被爆者たちはとんでもない、イスラエルは実際に使いかねないと反発したが、イスラエル政治はアーレントが指摘したように、テロリズムと虚偽の発想が覆うようになっている。
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