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民族浄化の手段としてのガザの病院攻撃 ―ガザは世界の人道支援を待っている

 イスラエルのガザ戦争によるパレスチナ住民の死者がついに4万5000人を超えたが、攻撃による負傷者を収容し、治療する病院もまた攻撃され、イスラエルによる民族浄化の一つの手段となっている。

 12月12日、ガザ北部で唯一の整形外科専門医であるサイード・ジューダ博士は、アル・アウダ病院とカマル・アドワン病院を移動中に頭部を銃撃されて死亡した。ガザの病院は医師不足が深刻で、ジューダ医師は、二つの病院で掛け持ちの診察を行っていた。イスラエルは明らかにガザの医療体制を無力化、崩壊させるために、病院を破壊し、医師たちを殺害している。医療インフラや医師が存在しなくなれば、住民たちはその土地を離れ、立ち退くと考えるからだ。パレスチナ保健省によれば、昨年10月7日以来、ガザで死亡した医療スタッフの数は1,057人に達した。イスラエルの極右勢力がガザ北部でのイスラエルの入植地再建と、ガザの再占領を構想していることはこれまでも繰り返してきたが、医療施設の破壊、医療スタッフの殺害は明らかにイスラエルの民族浄化の意図を表すものだ。

12月12日、ガザでただ一人の整形外科医のサイード・ジューダ医師も殺害された https://www.facebook.com/photo.php?fbid=979732520853444&id=100064501157337&set=a.592817986211568

 イスラエルは病院がハマスの司令室として、また武器庫として機能していると攻撃を正当化してきたが、これらの理屈は第二次世界大戦以前にイタリアのファシスト政権がエチオピアの病院を破壊した時にもち出したのと同じものだ。

 イタリアのムッソリーニは1935年10月3日にエチオピア侵攻を命じたが、国際赤十字委員会が戦傷者の救援に動員され、エチオピアに20を超える野戦病院を設立した。ところがイタリア軍はそのほとんどを空爆し、破壊した。駐イタリアのスイス大使はムッソリーニの措置を強く非難したが、ムッソリーニは、赤十字による人道的な野戦病院を余計で、必要ないものと評し、イタリアがエチオピアに学校、病院、医師など文明社会に必要なものを与えていくと述べた。

イタリアのエチオピア侵略 https://yamatake19.exblog.jp/238862252/

 ムッソリーニをはじめとするイタリア人は、エチオピア人が国際人道法で守られるほど歴史的に発達していないと信じ、エチオピア人が赤十字のシンボルを悪用し、軍事作戦や軍事施設を隠すために利用していると非難した。このムッソリーニの主張は、昨年10月7日以来、イスラエルが繰り返してきたのと同様な理屈で、イスラエルもパレスチナ人を「劣等、下等」な民族として見下してきた。

もう誰もシオニストの嘘を信じていない。 特にアイルランド人は。 https://x.com/BronzyGuevara

 第二次世界大戦中の反省もあって、1949年の第4回ジュネーブ条約第18条では、「負傷者、病人、虚弱者、産科患者を治療するために組織された民間病院は、いかなる状況においても攻撃の対象とならないが、紛争当事者によって常に尊重され、保護されるものとする」と規定された。しかし、イスラエルはこの国際人道法をまったく守っていない。

 ジューデ医師が活動していたカマル・アドワン病院は、イスラエルが民族浄化の重点地域とするイスラエル北部で機能する唯一の医療施設だった。

イスラエル軍はガザのナセル病院を襲撃し、赤ん坊を保育器の中に放置し、死亡させた https://x.com/ecomarxi

 ガザ北部では病院や医療関係者が攻撃の対象となることに見られるように、イスラエルによる住民たちの生命を軽視する活動が続く。市民は絶え間ない爆撃にさらされ、住居、食料、水、医療支援、安全な移動の権利を否定されている。イスラエル軍報道官のイツィク・コーエン氏は、ガザ地区北部の荒廃した地域にある自宅への帰還は誰にも許可されないと述べた。また、コーエン氏は、援助物資はガザ地区南部にのみに与えられるだろうと述べたが、このように、ガザ北部をパレスチナ人がいない状態にするというイスラエルの意図が明らかになっている。「見渡す限り、家、病院、学校、モスク、レストラン、すべてが完全に破壊されました。『ガザ市』の残骸だけが残り、社会全体が墓地と化しています。」というガザ住民の観察もあるほどだ。

ガザ戦争の前後 https://x.com/KenOKeefe1TJP

 ガザの紛争では犠牲者の7割が女性や子どもで、1982年9月にイスラエルの支援を受けたレバノン軍団がサブラーとシャティーラのパレスチナ難民キャンプで「女性はテロリストを産み、子どもはテロリストに成長する」と言って虐殺したことを思い出す。サブラーとシャティーラの虐殺事件(犠牲者は2000人以上とも見積もられる)は国際的非難を浴びて、イスラエルのベギン首相は辞任を余儀なくされたが、ネタニヤフ首相も同様の道をたどるべきだと思う。

アマゾンより

表紙の画像はガザ地区南部でポリオワクチン接種の医療関係者をイスラエル軍が“立ち入り禁止”に


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