塩を使い分ける、もう一歩先の料理の感動へ
2023年度もそろそろ終わる。教育関係の仕事をしていることもあって、つい先週高校の卒業式を迎えた。生徒がRADWIMPSの「卒業」という曲を歌いたい、とのことで急遽前日にピアノの伴奏をすることになり、久しぶりに白い紙にコードと歌詞を書き出して、運指の練習を妻の隣で焼酎を飲みながらイメトレしたりした年度末を迎えています。
そろそろ桜も咲く季節。今年も近所の公園で知人を誘ってゆったり花見でもしようか、と妻と企み始めた今宵ですが、2023年度を振り返ってみると本当に出張だらけの1年だったなぁ、と思います。
その中でも一番多かった出張先が沖縄。姉妹校が那覇に開校したということもあり、月に2度ほど訪れていました。
魅力的な南国。九州・宮崎に住んでいたこともありましたが、次元が違います。2月でコートを来ていたら「それは冬の服装ですよ〜」なんて言われたり、出張の準備をする上で段ボールの底から急遽エアリズムを探し出したりする必要があったり。
暫く家を留守にしてしまうから、お土産を妻に買って帰ろう!と張り切っていましたが、1~2回の出張で定番のお土産(海ぶどう、ミミガー、アグー豚のベーコン、サーターアンダギー、ちんすこう)は完了してしまった訳で、私はネタに困り果てた訳です。
そこで目についたのが、沖縄の「塩」でした。僕は料理が好きだし、塩のその製法で味わいや印象は非常に異なる。「今日の料理にはこの塩で」これが面白い訳です。そんな訳で、隙さえあれば僕は那覇空港の国内線ターミナルと国際線ターミナルの間にある「塩屋」とか、国際通りのドン・キホーテの1Fで塩を求める「塩おじさん」になったのでした。
そんな訳で今日は我が家のキッチンの店にある塩をレビューしてみることにします。レッツゴー、ソルトワールド。
「マース」というのは沖縄方言で「塩」という意味だそうで、我が家の料理に基本的に使う塩はシママースです。メキシコ/オーストラリアの天日塩を沖縄の海水で融解しながら炊き上げた一品。以前は「伯方の塩」を使っていましたが、トゲの立たない使いやすさと海塩ならではの塩辛さが美味しいです。何よりも1kgで400円という安さが魅力。遠慮なくバンバン使える、安定のデイリーユーズソルトと相成りました。
今や沖縄の塩の代名詞となった「雪塩」、「雪塩ちんすこう」美味しいですよね。独自の塩の製造過程を取っており、まるで粉糖の如く細かいその細かさが特徴です。舐めた時の硬い感じのマグネシウム感、つまり「にがり感」が印象的。マグネシウムの含有量が100gあたり3310mgと、かなり多い。(※ちなみに先程のシママースは150mg) 粒子が細かいため通常の感覚で使うより多めに入れるぐらいが丁度良いです。料理で感覚的に使うより、例えばアップル・パイに少しかけてみたりとか、バニラアイスにかけたりとか。甘いものに実は相性抜群だったりします。
先に述べた「シママース」の会社、株式会社青い海が出している海水塩。沖縄の沖合約2000mの海水からできた、とのことでシママースとは製法が異なります。海塩らしい粗塩感が心地よく、舌触りも心地よい。少し辛味が強い印象がありつつも、塩の柔らかさも感じられるので、フレッシュなトマトスライスや、塩おにぎりと抜群の相性を醸し出します。
こちら我が家の最近のトレンド、粟国(あぐに)の塩です。2月出張で手に入れた、我が家の最新のトレンド商品です。粒感は先に述べた「青い海」に近いですが、圧倒的に固くて、辛い。その理由はマグネシウムの含有量かと思います。青い海が180mgに対して、こちら1660mg。その塩辛さが圧倒的な力で食材の味わいを引き立てます。油多めの料理と合わせるのがオススメです。例えば脂がたっぷりと乗ったアジの開きとか、サーモンとアボカドを並べた上に振りかけたりとか、シンプルにメンチカツにかけたりとか。料理を引き締めてくれる、素晴らしい塩です。
こちらは沖縄を離れて、年末年始東京都・八丈島で年越しをしたときに明日葉の天ぷらに添えてあった塩が非常に美味しくて後に買い求めた塩。伊豆諸島・青ヶ島の火山の地熱60℃でじっくり濃縮しつつ製塩される塩です。バラつきがある顆粒の雰囲気が実に手作り感を感じられて、ありがたい塩。こちらもマグネシウム感が強く、今日紹介しているどの塩よりもカリカリ感(顆粒感)が楽しいので、これはシンプルに野菜に付けて食べるのが好きです。トマトスライスや胡瓜のスライス、あとはシンプルに炊きたてのご飯にひとつまみかけて食べる。塩っておかずになるんだな、そんな印象を与えてくれる一品です。
岩塩が欲しいな、と思いカルディコーヒーで確か買った一品。けど塊になっちゃってる感じ、最近あまり使っていない感が出てしまってすみません。岩塩は海塩と違ってコクがあるのが特徴で、一時期ハマっていた時期がありました。けど最近は専ら海塩にハマってしまっているかも。それでも、肉料理(例えばステーキに粗塩感の強い海塩といっしょに添えてみたりとか)と一緒にやったりすると、塩の違いが楽しめます。それから、岩塩は硫黄の香りがしてマイルドな物が多かったりするので、これに関してはエクストラヴァージンオリーブオイルにひとつまみ入れて、トーストしたバゲッドをディップしながらワインのつまみにしたりすると、これまた好いものです。
これは例外編となるかもしれませんが、静岡出身の友人から頂いた一品。僕も何度か静岡出張の中で気になっていたものの、なかなか手が出ず買わずにいた商品を友人からお土産で頂戴いたしました。
食塩に加えて、原材料はのどぐろだし顆粒、砂糖、焼きのどぐろ粉末となっていますが、これがまた万能なんです。塩としても活躍するし、ダシとしても活躍する、面白い一品です。シンプルにカットキャベツや胡瓜といった野菜にかけても美味しいし、少し薄めに作った味噌汁に強気で大さじ1杯くらい入れてみたり、卵焼きにひとつまみ入れてみたり、白ご飯に漬物を乗せてこれを振りかけて熱湯を注いだら立派なお茶漬けになったり。なるほど世の中にはこういった面白い調味料もあるのだなぁ、と勉強させて頂いた一品となりました。減り具合を見ていただいてもその万能さが伝わるかなと思います。
日本酒を愉しむ玄人の方は、「塩をつまみに」飲む、なんて話を聞いたことがあります。確かにこの記事を書きながらそれぞれ改めて塩を味見しながらいいちこのソーダ割りを飲んでいるとまぁ酒の進むこと、進むこと。
塩は実に奥深い。料理を作る上で、いただく上で、朝出勤するときに「今日は何のシャツにしよう」「今日はどのネクタイを締めよう」そんな感覚で塩を使い分けているような気がします。本当はもっと商品裏面の栄養成分表示(カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、亜鉛、etc)について詳しく話ができたら良いのかもしれませんが、それはあと1年後くらいの話になるのかもしれません。それだけ僕の塩の研究はまだまだ続く訳です。
日々の生活の中で「塩」を意識してみる、それだけで少し料理が楽しくなるかもしれません。まずは違いを感じられる「岩塩」と「海塩」を少し奮発して買ってみるだけでもその違いを愉しめるのではないかと思います。
赤キャップの「食卓塩」からもう一歩先へ。ひとつ、塩ライフ、初めてみませんか。きっと料理がこっそり、けど確実に、美味しくなるのではないかと思います。