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宮田大樹
2024年4月21日 20:23
「気にくわないねえ」 そう言って、魔女は持っていたステッキを振り下ろす。 それ以来、私は愛する人と結ばれることはなくなった。 はじめは私が好意を寄せた人に愛されないだけだと思っていた。良い関係になり、告白をしても振られてしまう。それが何度も重なってようやく、私は魔女の呪いだと気づいた。 それならば。私は私に好意を寄せる人と付き合うようになった。しかし、付き合ううちに私の気持ちが大き
今思うと、それすらも夢だったのではないか、と思うような、不思議な体験をした。 気付いたら夕方で、いっしょに遊んでいた友達と慌ててランドセルを背負って帰路に就く、そんな小学生の頃の帰り道。いつも通りの通学路を歩いていたはずなのに、いつの間にか、知らない古いビルの前にいた。 ―こんなところにビルなんてあっただろうか。 壁はところどころに剥がれ落ち、掠れた文字でかろうじて読めるのはシネマの