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#12:『IMMERSIVE FORT TOKYOレビュー』 "没入体験の条件"を考えよう

こんにちは!本noteでは日々の小さな出来事を深掘ってみて抽象化・構造化したり、私の好きなエンタメ(映画・ゲーム等)の考察を投稿してます。

今回は少し今更ながら東京はお台場の『IMMERSIVE FORT TOKYO』に行ったので少しライトに感想に触れつつ、本テーマパークのコンセプトでもある「没入体験」を感じる条件って何か?を自分なりに整理してみます。
私自身、ゲーム・映画だけでなく人狼・マーダーミステリーも大好きなので後半はその辺りとも対比しつつ「没入体験」を考えてみます。では、スタート。

『IMMERSIVE FORT TOKYO』概要

24年3月1日に東京都青海に開業した商業施設。キャッチコピーは「人生、全とっかえ」。旧施設(ヴィーナスフォート)の中世ヨーロッパ風の内装を活用し、来館者がアトラクション・物語の当事者として入り込む「没入(=イマーシブ)体験」をコンセプトにしている。公式HPは以下。

体験したアトラクション

私が体験したアトラクションは以下です。

シャーロックは約90分にわたる長作、サブは大体10分前後という感じでした。あとは館内を一通り回ったりご飯を食べたり。


※ 注意:ここから具体的な感想 ※

本施設は館内写真のソーシャルアップもNGですので、シナリオ・具体的な内容は言及を避け、雰囲気を中心に言及していきたいと思います。



感想:期待上回らず。なんか惜しい。

ビックリするほど何様だよ!という感じですが、いちユーザー目線の感想です。うーん。うーん。というモヤつき。つまらない、では勿論無い。けど最高に楽しかったかと聞かれればと絶対にノーでした。では具体的に良かった所・イマイチだった所を整理します(いずれもホームズ中心)

良かった所

①物語へ物理的に入り込めるという発想
本施設の根幹である「物語内に物理的に入れる」というのは期待通りの興奮を覚えました!あのシャーロック・ホームズの、あの世界のロンドンの中を歩いている!だけで生まれるワクワクは確かにそこにある。この要素は正しい道を間違いなく進んでいると感じました。

②衣装・舞台装置・道具の造り込み
没入感を得る上で超重要な要素ですので流石に拘ってると感じました。ここがチープだと、コスプレ感というか一気にやりたい事が崩れてしまう。壁に貼られた新聞や落書き、手に触れる事のできない天井付近の外壁、部屋の装飾などなど。お金かかってる感じしました。笑

画像引用元:「るるぶ&MORE

イマイチだと思った所

①没入できなかった
正直ここに尽きます。厳密には期待していた「没入」と認識がズレてたが正しい。この施設の宣伝の方向的に「自らの行動で物語を動かせる」要素を私は期待しました。が、実際は「舞台を間近で自由に観れる」体験でした。自分に作品内の役が割り当てられる訳でも、何かインタラクションがある訳でもない。結局どこまで行っても自分は作品を追うカメラというか、観客。

そうした時にふと「このロンドンにいる自分って何なんだ?」と、しかもそんな謎の人間が100人近くそこら中に居て、キャストはそれらを透明人間かの如く存在しない者として扱う。これ逆にリアリティ無くない?って途中で急に我に返り萎えました。例えば通常の舞台で、舞台上に観客がたくさん居てキャストがそれを無視して演技してたら「何これ?」ってなりません?
逆に言うと「舞台」と「観客席」に明確に線を引いて「舞台=物語の世界」と一歩引いて観た方が没入できるんだなーと思いました。

②サブアトラクションの立ち位置
サブアトラクションを没入体験と言うか怪しいと感じました。
『ヘンゼルとグレーデル』『第五人格』はディズニーアトラクション的で『ジャック・ザ・リッパー』はお化け屋敷的でした。これは「面白い・つまらない」という話ではなく「新しい・新しくない」の話です。これも①と同じく宣伝方針と実態のギャップを感じてしまいました。

③高い。
シンプルにちょっと高すぎると思います。
入場するだけで7000円、これだけだとメインアトラクションは体験できない。メインを体験するには最低+3500円〜最大+16000円。ここに更に飲食代もかかる。流石に価格設計バグってると思いました。この施設のメインターゲット層はどこなのだろう。


以上、少し辛口で書いてしまいましたが、あくまで個人の感想です。また今回他のメインアトラクションの『東京リベンジャーズ イマーシブ・エスケープ』と『江戸花魁奇譚』は未体験なので、この2つを体験したら感想も変わるかもしれません(けど花魁だけ体験しに行こうとしても16000円かかるんだよなあ…やっぱ高すぎじゃね…?)

画像引用元:「PR TIMES

「没入体験」の条件を考えてみる

今回を踏まえ自分なりに「どうすれば真の没入体験を得られるのか」について考えてみた。ちなみに商業化=マネタイズは無視してます。今回のホームズを見て、ビジネス的な制約も大きかったのだと思います(特に一回における参加人数)。なのでここから先は本施設云々ではなく、単にただのエンタメヲタクの駄文と思って下さいmm

物語へ物理的に入り込めるコト

こちらは前項「良かった所」で挙げた通り、やはり作品の世界に物理的に飛び込めるというワクワク感は凄かった。これは家でやる人狼や、小さな店舗でやるマダミスでは絶対に得られない。お金もかかるので限界はあれどコンテンツを体験する「場」の演出の可能性を実感しました。

自分に役が与えられるコト

これは前項「イマイチだった所」から、その世界で自分が何者であるという役割が無いと、冷めます。これはある意味気付きで「観客には観客の矜持がある」というか「観客としてただ近くに行っても没入感は増さない」と思いました。線を引いてくれる大事さ。
人狼ゲームでは処刑されると強制退場=強制的に観客に回されますが、ゲーム後半に若干緊張感が薄れるのは、何者でもない人が増えるからなのかと思いました(人狼ゲームに世界観の没入は求められてないと思いますが)。

インタラクションがあるコト

これは「役」と近いですがその世界に触れるには自分の行動に対する跳ね返りが必要、その為にミッション・リワード的な要素はやはり不可欠なのだと思います。人狼で、役職がミッション性の低い村人だと途端に「最初に吊っていいよ」と緊張感の弱い立ち回りになるのもこれが理由でしょうか。
このミッション性の高さの象徴=マダミスですが、この要素は参加人数とトレードオフの関係になってます。人が増えると全員にミッションは与えられない。これがビジネス(動員数)との兼ね合い。難しい!

BGMが機能を果たすコト

ここで告白するとワタクシはBGM厨です。note書く時も必ずBGM聴いてます。歌では無く。最近はルックバックorユーフォのサントラです。これはただのキモい話なので笑って下さい。
冗談はさておき映画・ドラマ・ゲーム、あらゆるコンテンツでBGMが持つ機能性の高さは凄まじい。どんなにいい映像も無音だと感情移入ができないシーンは多く、下手すればBGMが雰囲気を支配する力すら持ってます。ネット上に「恐怖映像も『嵐のLove so sweet』を流せば怖くない」とか「シリアスなシーンに『こち亀のBGM』を流せば面白くなる」的な動画がありますが要は本当にそういう事だと思います。

ホームズ内では「リアルタイムで自由な場所に移動できる」という特性から音がゴチャつく事を避けBGMがあまり流れてなかった気がします(違ったらすいません)。また、人狼・マダミスも同一BGMをループで流してるお店が多いと思います。アドリブ性の高さから難しそうですが、局面でBGMが変わると没入感は更に高まっていくのではないかと思います。


以上、私が考える「没入できる条件」でした。

  • 物語へ物理的に入り込めるコト

  • 自分に役が与えられるコト

  • インタラクションがあるコト

  • BGMが機能を果たすコト

そしてこれを改めて見た時に感じたのです。

脱出ゲームって…結局一番没入感あるのでは…?

今回は以上になります。
最後までご高覧くださり、有難うございました!

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