「音漏れ」はパンツを見られるより恐ろしい
今朝の電車で、電車が止まった時
どこからかシャカシャカ…という音が聞こえてきて
ビクッとした。
間違いない。わたしが最も恐れている現象。
「音漏れ」です。
今日はこの話を書いてみたいと思います。
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シャカシャカ…という不吉な音が聞こえたのは、
最寄駅から電車に乗り込んですぐのことでした。
「まずい、また遭遇してしまった」
状況を把握するために慌てて辺りを見回します。
音の出元は、茶髪で白いコートを着た女性。
ちょっと気が強そう。
ペルシャ猫のような顔立ちをしています。
女性が身につけているiPhone純正のイヤホン。
そこから、確実にシャカシャカという音が聞こえてきます。
本人は全く気づいていません。
こちらの心配をよそに、澄ました顔でスマートフォンの画面を眺めているのです。
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わたしには怖いことがいくつもありますが
そのうちのひとつがこの「音漏れ」です。
自分がしてしまうのも、
他人がしてしまうのをみるのも
同じぐらい怖い。
自分で気づいた時には一日中引きずるぐらい
落ち込むし、
他人の音漏れに遭遇した場合には、ハラハラして
それ以外のことが全く手につかなくなってしまうのです。
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「音漏れ」に感じる怖さは
「隠してると思っていたものが隠れてなかった」という怖さです。
ストッキングにスカートが挟まってる女性
ジーンズのチャックが空いている人
Twitterの裏アカウントが暴かれたアイドル
皆知っていることに本人達だけが気づいてない社内カップル
そういうものを見た時の
目も耳も覆いたくなる、あの気持ちに似ています。
その中でも、音漏れは特別に怖い。
なぜなら、聞いている音楽やラジオって、自分のすごく「内側」の部分だと思うからです。
イヤホンと鼓膜の間は誰にも見せないはずの
プライベートな世界。
その中では本当に好きな音楽やお話が聴き放題。
人に言いたいものも言いたくないものも、
なんだって自由に聴けるのです。
外見や行動が見えていることよりも、
自分の「内側」が一瞬でオープンになる危険性を孕んでいるというのは、やっぱり特別に怖い。
どれぐらい怖いかというと、
スカートがはためいて身につけているただの布が見えることより
よっぽどよっぽど怖いのです。
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女性とは距離が離れていて、声をかけると更に恥ずかしい思いをさせてしまいそうでした。
「頼むから気づいて…」
と、懇願に近い念力を女性に送っていましたが、通じず。
彼女は音楽と共に、
電車から降りる人混みに消えて行きました。
彼女が聞いていた曲は
aikoさんのシャッターという曲でした。
逢えない訳じゃないけれど
今は逢いにゆけない
もう少し自分を見つけたら
電車に乗って橋を越えて…
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お読みいただき、ありがとうございました。