「会社勤め」から、定年後「個人事業主」へのチェンジ(その2)
「会社勤め」から、定年後「個人事業主」へのチェンジ(その1) の続きです!!
60歳以降の目指す姿
シニアの再就職はとても厳しい、ということは一般論としては知ってましたが、模索中に実体験できたのは貴重でした。
模索しているうちに、仕事・働き方についての思いが少しずつ具体的になっていきました。
60歳以降の目指す姿としては、
★雇われない働き方
★面白い仕事(自分で考え、実行してビジネスとして成果を出し、それが顧客や社会のために何か役に立つことに繋がる仕事)
★65歳以降も続けられる仕事(健康面や家庭の状況が許せば、是非)
★生活が少し豊かになるような収入(贅沢しようというのでなく、ちょっとした楽しみをしようとした時に、常に超倹約モードではつまらなくなってしまう。そうならない程度の稼ぎ)
などが具体的になってきました。
この実現に向け、自分で経営をやってみたいという思いが湧いてきました。新卒入社のメーカー一筋、独立・転職・副業の経験無く”雇われの身”だけだったことを振り返えり、「自分の仕事人生これでいいの?」という気持ちも拍車をかけることになりました。
仕事の中身として、
★自分自身がワクワクとして打ち込めるか
★経営が成り立っていけそうか
という点も考慮し検討しました。
これにあたっては、新たなスキルを身に付けるのでなく、持っているスキルを磨き直しながら活かすことを考えました。
ただ、何か資格を取ろうという発想にはなりませんでした。どうしてもやりたい仕事があってそれを実現するのに資格が必須というのであれば、目指したでしょう。それが無いのに取り敢えず取得するとしたら。勉強中は頑張っている自分に満足してしまい、仕事に向けての行動開始を先延ばしすることにならないか、取得が目的(ゴール)になってしまわないかを危惧しました。
勉強する自信が無かったのも正直なところです。集中力、記憶力、体力が若い頃とは違い。もう少し若かったら違う進め方をしたかもしれません。
学習塾経営
当時「アントレ」という雑誌を読みまくりました。(今はWEB版のみですが、当時は雑誌とWEB版の両方あり)
これだ!!と行き当たったのがデジタル教材を活用した学習塾の経営でした。自分の役目としては、生徒への動機付け/保護者対応/教室運営などです。自身が講師として教えるのでなく、生徒はデジタル教材を通じて学ぶという方式です。対象は小・中学生。
少子化で生徒数は減少傾向にありますが、子供一人あたりに掛ける教育費は増加傾向にあるようで、市場性として悪くはないと思いました。デジタルを活用することで、対象となる生徒の範囲を広げることができ、従来型の塾と比べても優位性ありそうです。購入決定権者は保護者、この応対も出来そうな気がしました。
この種の教材・教室運営システムはフランチャイズ展開が多く、いくつか説明会に参加しました。その中で、ある教材システム会社を見つけました。教材の質の高さとフランチャイズ本部からの縛りがあまり無く、オーナーの裁量で運営できる点がポイントでした。選択肢はこの1社のみという気に入りようです。
早速、開業資金や立上げ後の運営費を試算、生徒数を皮算用し、事業計画書を作成しました。開業2年目から黒字となる計画です。よし よし 行けるかも!!
家族のこと
ところが、ここで待ったが掛かることになりました。そう家族です。60歳以降の仕事について家内に話したのはこの時が初めてでした。すでに定年まで2年を切っていました。
家内としては、当然再雇用で残るものだと思っていたようです。それが、いきなり「学習塾をやる!!」宣言です。
びっくりしたのと同時に、不安になったようでした。「家計がどうなるのか」と。開業資金として退職金を多少あてにしていたのも不安を煽ることになりました。
安心させようと想定されるリスクに対し対応策をいろいろ挙げました。ただすべて仮定の話です。計画精度を細かくしてもその通りに行く保証はありません。
家内の希望はあくまでも再雇用延長。現役正社員時代より給料が下がったとしても安定しているというのが理由です。しかもそこそこの大手企業勤務という身分で。
しばらくいろいろと考えました。
65歳までの家族のライフプラン表をエクセルで作成してみました。
60歳までの見込み収入/子供の大学卒業・就職(教育費変動)/住宅ローン完済/60歳定年(退職金)/60歳以降の月々の生活費/見込まれる大きな支出/年金受給・・・・・・
ここに、学習塾経営と再雇用の2パターンでシミュレーションしてみました。
再雇用の場合、65歳の年金受給開始に何とか繋げられそうとの結果でした。
一方、学習塾経営の場合は、計画通りに行ったとしても62歳ぐらいまでは退職金を食いつぶす見込みです。これでもし計画を下回わることになったら・・・・・
60歳以降の目指す姿を、自分だけで考えてきたことを大いに反省しました。家族あっての自分であり生活であることは、もっと考えるべきでした。
結局、学習塾の経営は断念することにしました。ただ60歳以降の目指す姿を実現したいと言う気持ちに変わりはありませんでした。
それからは、家族の理解と安心も考慮しながらの模索が始まりました。
この時、すでに定年1年前(59歳)に近づいてました。
模索開始から早や2年、いよいよカウントダウンです。残り時間を考えるとゆっくり模索している状況ではなくなりました。
定年前の会社員として
そんなある日、会社側から連絡ありました。
「定年後、再雇用契約を希望しますか?」
あくまでもその時点(定年の1年数カ月前)での希望とのことです。
正式表明は定年3カ月前ぐらいで良いようでした。
会社側へは「現時点では、再雇用希望です」としました。
因みに、この時点でも”60歳以降の目指す姿”に変化が無いどころか、増々その思いが強くなっていきました。
(「現時点では、再雇用希望です」とした理由は、記すと長くなってしまうのでここでは触れないことにします。)
60歳以降どうなるにせよ、会社に勤めている限り、
★今やっている業務は責任もって高いレベルで遂行し、確実に事業に貢献させる。
★やっている業務の中身は周りから見て常に判るようにし、扱っている情報は個人で抱え込まず、分かり易い状態にして記録し共有する。
★問合せや相談あった場合には所属部署を問わず、持っている知識・経験を動員し、相手の立場に立って判りやすく丁寧に伝え、要望に応える。
★怖いおじさん風は装わず、特に若い方には聞きやすい雰囲気を醸し出ておく。
★人のせいにしない、周りのせいにしない、会社のせいにしない、の気持ちで。愚痴は最小限に。
★再雇用延長しない場合、半年以上前には態度を表明し、業務引継ぎをスムーズかつ確実に行う。
以上を退職の最終日まで意識して誠実に行うことを心に決め、遂行することにしました。
一方、学習塾経営断念以降、60歳以降の仕事・働き方についてなかなか具体的になっていきませんでした。
家族の理解と安心も考慮しながらの模索は、定年1年前でもまだまだ続くのでした。
この続きは、「会社勤め」から、定年後「個人事業主」へのチェンジ(その3)にてお届けします!!
<おまけ1>
学習塾経営、実現はしませんでしたが、開業に向けた検討や事業計画書作成は大いに勉強となりました。現在個人事業主として活動していますが、会社員から脱出するにあたっての糧となり、今の仕事でも役立ってます。
<おまけ2>
私が気に入ったデジタル教材会社、コロナになってからすごい業績を伸ばしているようです。仕方なくリモート対応せざるを得なくなった学校や塾は多かったようですが、デジタル教材を使ってみると様々なメリットあることがわかり、認知が広がったとのことです。デメリットもあるでしょうが、オンラインと対面を上手く組み合わせることで新たな可能性も出てきたのではないでしょうか。
私が検討していた時、コロナなんて全く予想してませんでしたが、当時目の付け所としてそれほど悪くはなかったのではと今密かに思ってます。
ここまで読んで下さってありがとうございます。