63歳フリーランスおじさんのモチベーション
フリーランスとして活動している63歳になったばかりのおじさんです。
新卒で入社したメーカーには38年勤務しました。2020年3月に60歳で定年になりましたが、雇用延長は選ばず会社員を卒業しました。
定年退職の翌月には開業届を出し個人事業主として活動を始め、ここでちょうどフリーランス暦3年になります。仕事は、中小製造業向けの現場改善・業務改善支援です。
今回は、そんな個人事業主(フリーランス)のおじさんの仕事に対するモチベーションについて、綴ってみようと思います。
あらためて「定年」を考える
30年前の定年
定年は会社員の終わり、そして余生の始まり?!
「勤め上げる」という言い回しがあったように、30年ほど前は、定年は仕事キャリアのゴールと位置付けられていたように思います。
そこそこの退職金をもらい、退職と同時にそこそこの年金を終身でもらえる身になりました。終身雇用という言葉もなんとなくわかります。
ちなみに30年前には、60歳男性の平均余命はおよそ21年とのことでした。60歳男性ならば平均81歳ぐらいまでは生きるということです。ただ健康寿命は80歳より少し前でしょうから、定年退職後に健康で過ごせる期間としては20年も無かったということになります。
定年後は、退職金と年金で余生を過ごすというライフスタイルが当時一般的だったとしてもうなずけます。
現在の定年
現在、企業には法令で65歳までの雇用機会の確保が定められています(高年齢者雇用安定法)。
私が勤務していた会社では定年が60歳で、その後は最長65歳まで雇用延長が可能でした。
65歳定年・最長70歳まで雇用延長という企業もあるようですが、60歳定年・65歳までという企業が多いのではないでしょうか。
また、年金の受給開始は基本65歳からです。
(私の場合は「特別支給の老齢厚生年金」が64歳から受給できるという経過措置が適用される年齢ですが)
ちなみに退職金、年金ともに一般的には昔より減っているようです。
年金平均受給額「2000年から3万円減少」将来はどうなってしまうのか|資産形成ゴールドオンライン (gentosha-go.com)
私が勤務していた会社も、昔より退職金が減ってきているようでした。
60歳定年で退職するということ
・企業側には65歳までの雇用機会の確保が定められている
・多くの方が65歳まで現役として働く状況にある
・年金受給開始は65歳から
そう、現在では、65歳までは働いて生活費を稼ぐのが一般的ということです。
さもなくば退職金や預貯金を切り崩して生活をするか、もしくは不動産収入や資産運用益で生活できるという方もいらっしゃるかもしれませんが、多くはないでしょう。
つまりは、65歳になるまでは現役世代ということですね。
従って私のように、60歳定年で会社員を卒業(雇用延長せず退職)するというのは実質早期退職なのです。
それを昔のような定年の意味合いを掲げて、
「頑張って60まで勤め上げた」とか
「これからはあくせく働くのではなく、余生を楽しむ」として、
60歳定年を機に会社員生活を辞めたとしても、65歳になるまでは生活が大変だということを覚悟する必要がある、ということです。
定年後フリーランスで活動しているおじさんのモチベーション
さて、ここからがいよいよ本題です。
(前置きが長かったー)
60歳で実質早期退職したおじさん(私)の、仕事に対するモチベーションについて、以下できるだけ本音で記してみたいと思います。
雇われない働き方で自分らしくイキイキと働く
好きなことをやる
嫌なことはやならい
フリーな立場を活かし、仕事とプライベートを上手く両立させる生活スタイルを確立する
退職前にはこんなイメージを持ってました。
格好いいですよね!!
長年会社員という雇われる働き方から解放される期待感を膨らませていたということもありました。
何せ新卒から定年までずーっと頑張ってきたのですから、自分へのご褒美があってもいいのではと思ってしまいました。
で、問題はそれで”生活費を稼げるか?”です。
フリーランスなりたての頃
実は実際には厳しい状況が続きました。
定年前にろくな準備もせず、フリーランスとして稼げる当てもないのに退職してしまったので、今考えれば当たり前と言えば当たり前でした。
生活費ですが、退職金を少しずつ切り崩すのと、かみさんの稼ぎに頼ることでどうにかやり繰りしていきました。
65歳までは現役世代にも関わらず、自分は稼げてない
まだ年金ももらえないのに給与所得者を辞したのは自分
自分の責任でなんとかしなければ
自分を責めたり、かみさんに申し訳なくなったりもしました。
自分が60歳で退職しフリーランスになったことについて、様々な方々からすごく関心が寄せられていることは、ひしひしと感じていました。
「仕事はどう?」「順調?」
直接聞いてくる方もいましたが、多くの方は私の仕事には触れないようにしながらも強い興味関心を持っていることは感じてました。
「退職前に想定していたより厳しい」とは言わずに、「まあまあかな」「コロナ影響もあってね」とかわすことが多かったです。
ikigaiチャート
最近よく見聞きするようになったikigaiチャートで、定年直後~現在までの状況分析をしてみたいと思います。
「好きなことで」
「得意なことで」
「需要があって」
「お金になること」
この4つを同時に満たすところがikigai(生き甲斐)という訳です。
4つを同時に満たすところがあれば素晴らしいのですが・・・
実際には、
フリーランスなりたての頃は
4つを同時に満たせるところが、
ほとんど無い・・・・・
全く無いのではなく、ごくごくわずかですがありました。ただ生活費を稼ぐというにはほど遠い収入でした。
4つを同時になかなか満たせない状況で、何を大切にして、何を犠牲にするか試行錯誤を繰り返しました。
「好きなこと」&「得意なこと」は大切にする一方、「需要がある」かどうかは分からない状況でもとにかく進んでみることにしました。
この際、「お金になる」かどうかは後から考えることにしました。(案件獲得活動の際、報酬面はあまり前面に出さないということです。この作戦が良かったか悪かったかは別にして、当時そうしました。)
救いだったのは、スポット的にちょこちょこと仕事が入ってくることでした。そして顧客(中小企業の経営者)にはいずれも喜んでいただけたことでした。
細々ながら1件1件の案件を丁寧に対応しつつ、状況を分析し、フリーランスがやるビジネスとしてどうかを冷静に考えていきました。
その結果、
「好きなこと」は今後も大切にしよう
「得意なこと」については更に磨きを掛ける(リスキリングする)必要がある
「需要」はありそうかな
「お金になりそう」という感触を何となく持つことができ、そして中小企業の経営者が支払ってくれそうな金額感がおぼろげながらわかってきた
という状況になってきました。
ただし決定的に不足しているのが実績と信用であり、更には案件獲得の手段というか経路がまだしっかりしていなことが大きな課題であることをあらためて認識しました。
ここまで至るのに定年後2年半掛かりました。ちなみに生活費はまだまだ稼げてませんでした。
この間のモチベーションは、自分を責めたり、かみさんに申し訳なくなったりで、相変わらず何とかせねばという気持ちでした。
ただ、会社員時代のやらされ感だったり、理不尽だけれど生活のために我慢するということは無く、また自分ではどうにもならないことを愚痴る(世の中がおかしい、会社がひどい、上司が悪い・・・・)といったことも一切なく、そのようなストレスはありませんでした。
そして何よりは、ikigaiチャートの4つを同時に満たすところを広げられる可能性を感じるようになってきました。
そうなってくるとモチベーションの中に、ワクワクとかが芽生えてきました。ただし生活費を稼ぐにはまだ遠い状況でしたが。
最近の状況
2年半を過ぎた頃から、ikigaiチャートの4つを同時に満たせるところが少しずつ増えてくるのを実感しました。
2年半試行錯誤を繰り返すと失敗と成功の要因が何となくわかり、再現性のあるやり方が僅かながら見えてきました。
そしたら、なんと「お金になる」が後から付いてくるようになりました。
そうなってくると、更に良い成果を上げ顧客(中小企業の経営者)を期待以上にびっくりさせてやろうとか、もっと案件を増やしてみようとか、いろいろ考えるようになってきました。そしてそれが楽しくなってきました。
これが、フリーランスになってちょうど3年経った今の状態です。
65歳以降のこと
一般的に65歳を過ぎると会社員をリタイアされる方が多くなるでしょう。仕事をされる方でも軽作業やボランティア的な活動が多くなってくるかもしれません。
世間が見る目も「現役世代」から「シニア世代」になってくると思います。
そしてなにより年金が貰えるようになります。
稼ぐ目的も「生活費を得るため」から、「ちょっと暮らしを豊かにするための資金」に比重が移ってくるでしょう。何せ収入のベースに年金がありますので。
そう、「65歳になるまで」と「65歳から」はステージが明らかに変わるということです。
65歳以降の私の目指す姿
ikigaiチャートの4つを同時に満たすところをがっと広げた状態でイキイキワクワクと働くことです。
すなわち「好きなことで」「得意なことで」「需要(案件)を獲得しながら」「稼ぐ」です。
今63歳になったばかりですが、65歳以降のこの可能性が少し見えてきたのではと思ってます。
今の気持ち
くれぐれも健康に気を付けながら、謙虚に、仕事の質は決して落とさず、楽しく、一生懸命にやる です。
多少ストイックになってもストレスはなく、むしろ鍛えられてる感があってやりがいがあります。
スポーツで言えば自身に適度な負荷を掛けて心地良い汗をかく、というところでしょうか。
安易な楽を求めることはまだ先にしたいと思います。
何せ実質早期退職をした現役世代真っ盛りの者ですので。
人生100年時代と言われてます。
この先自分がどうなるかはわかりませんが、65歳以降もまだまだ健康でイキイキと働いていたいという希望を持って日々過ごしています。
63歳になったばかりのフリーランスおじさんのモチベーションについては以上です。