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#120フェスに行ってきたぜ。(後半)
(もう満足だ。それに疲れた。いつ帰ってもいいけどなあ…)
これはフェスに参加して、森高千里のステージを見終わった後のわたしの心の声です。疲れ専門家と名乗りたいほど、始終つかれを感じているわたし。でも、このつぶやきはそっと心の奥に仕舞い、屋台村の会場近くの木陰に敷きものを広げ、ごろりと寝転んでしばし休憩します。家族は小腹が空いたと食べ物を物色にいきました。
ゴロりん、ゴロゴロ…。
このまったりとした寛ぎタイムは、家の中でエアコンを効かせて過ごすのとは、寛ぎ加減がちがいました。一番ちがうのは、自分の目の前に、同じようにのんびりしている、見ず知らずの人たちが沢山いること。これは銭湯の湯船につかっている時の感じに近いものがあります。
年配のご夫婦もいれば、家族づれのにぎやかなグループもいます。
「どこんち(どこの家)も、大して変わりないよなあ」
そんなことを思います。特別じゃないかもしれないけど、自分にとってかけがえのない人たちと一緒に、これが当たり前よって顔をしながらご飯を食べている風景。この「当たり前」が、ほんとはすごいことなんだよなあとか思いつつ…。
と、帰ってきました、テル坊もミドリーも。二人とも別々の方向に歩いて行ったにも関わらず、結局、同じお店のフライドポテトを抱えているのが可笑しくて、わたしは一人笑ってしまいました。
暫く休んでから、再びメインステージの近くへ敷きものごと移動し、今度はラストまで座ったままで参加します。本日のトリはウルフルズです。息子のドラちゃんが「うげー、うらやましい。オレも行きたかった」と叫んだウルフルズです。
心が弱った時、彼らの歌声に何度勇気づけられたことでしょう。ウルフルズは1988年大阪・中津のインド喫茶でバイト仲間だったウルフルケイスケとトータス松本のセッションがきっかけで結成したバンドです。バンド名はメンバーお気に入りのLPレコードのジャケット帯にあった「ソウルフル」に因んで「ウルフル」としたことが由来とのこと。
初めて生の歌声を聴かせていただきました…。ウルフルズ。やばい、この人たちの熱量はほんまにやばい。サーモンピンクのスーツと麦わら帽子、三つ編みにした髪の毛を垂らしたボーカルのトータス松本さん。大画面に映る笑顔の、なんと清々しいことでしょう。野外ステージに響き渡る、よく通る声。
1992年にデビューし1995に「ガッツだぜ!」「バンザイ〜好きでよかった」で大ブレイク。2009年には一旦活動を休止しますが2014年に再始動。2018年からギターのウルフルケイスケが休業中ですが、残りの三人で全国ツアーを開催中。なんと、あの松本さんが57才、他のメンバーも50台、とてもそんな風には見えません。グループだからこその葛藤や悩み・苦しみ、いろいろあったと思うのですが、そんな部分は一ミリたりとも感じさせない。聴衆を楽しませることに全てのエネルギーを注いでいるのが伝わってくるようなステージでした。
曲が始まると、大勢の人がリズムをとって踊り始めます。後ろの方で座ったまま、手を叩いていたわたしの少し前で、若い家族連れのお父さんが、激しく踊り始め、となりにいた小さな男の子もクルクル回ったりジャンプしたり…。もうキレキレのダンスが可愛すぎて、目が離せなくなりました。なんだこれは〜、ステージと会場が一体になっているじゃないか〜。
わたしたち人間って、こんな風に自由に飛んだり跳ねたり、踊り回れる生き物なのに、普段はそんな心を押し隠して生きているんだなあなんて思うとしんみりです。だから皆、フェスが好きなのねえ。参加すると元気が出るのねえ。
ステージが終了すると花火が打ち上げられ、煙がモコモコと空を覆いました。今度は真っ暗な道を、皆が列になって入り口の方へと歩いていきます。駅行きのシャトルバスが次々に参加者たちを乗せています。
「お疲れさまでした!」わたしたちよりもっと早くから働いていたはずのスタッフの方々が、爽やかな笑顔で挨拶をしてくれます。みんなで作り上げてる大きなお祭りに今日は参加できたんだなあ、そんな気持ちになりました。
帰りに立ち寄った豚骨ラーメンのお店では、次々に入ってくるお客さんが皆、フェスに参加したリストバンドをつけていてビックリ。皆考えることは同じだね。疲れて満足そうな顔の人たちに混じって、わたしたちもズルズルとラーメンを啜りました。
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