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#142一歩前へ。

8月半ばに退院してから、ほぼ週一のペースで左腕のリハビリに通っています。交通事故で骨折した上腕骨、というよりも肩関節部分の動きをよくするためです。

今で2ヶ月半ほどが過ぎますが、前回の医師の診察の時に「勝負は3ヶ月ですよ。リハビリ頑張りましょう!」と言われました。なぜ3ヶ月なの?とその場で聞くタイミングをなくしていましたが、担当の理学療法士さんと毎回40分のリハビリ中にいろんな話をするので、その辺りも質問してみました。

怪我をして、ある部分を手術すると、身体は自ら回復しようと反応します。ところが痛みのために、その後も長い時間、使われないままの筋肉があると、その周辺が徐々に固まり始めるのが3ヶ月目なのだそうです。わたしの場合、普段、腕を挙げるために使っていた筋肉を暫く使えなかったため、別の部分の筋肉を代償的に動かす癖がついており(例えば左腕を挙げようとすると、首から肩にかけての部分も一緒に持ち上がってしまう)、そうなると弱った筋肉はそのまま硬くなる可能性があります。なので、それを解消し、腕全体を以前のように使えるように、腕や肩のほぐし方、動かし方、弱っている筋肉を鍛える運動を一つ一つ丁寧に教えてもらっています。

「ほら、腕じゃなくて肩が挙がってますよ」
「ふが〜!!」(腕を斜め上方に引っ張り上げられた時のわたしの悲鳴)
「ここ、痛いねえ。がんばって」

20代後半とおぼしき若い女性の理学療法士さん(先生)は、明るく元気な笑顔でわたしの左肩から腕全般をしっかりとマッサージし、痛くて涙が出るほど腕の周囲を動かしてくれます。「くー、痛いです!」といっても「痛いねえ」と言って動きを止めてくれないのは、愛の鞭。そう分かっていても、リハビリ後はクタクタになって、家に帰ると眠ってしまうくらい、身体の反応があります。

先生は毎回、腕がどこまで挙がるか、両サイドに広げられるかを、角度を図りながら診てくれます。ほんの少しでも改善していると「すごいですよ」と褒めてくれるので、家にいる間もスキマ時間にせっせとリハビリに取り組んでいます(先生に褒められるために宿題をがんばる子どもみたいな気持ちです、笑)。

自分の身体の内側の仕組みや動きについて、わたしはうまく想像を働かせることができません。痛みがあると、それが「あって当たり前な痛みなのか」「何かトラブルが起きた異常な痛み」なのかの識別できないのです。先生に痛みの部位や出方を相談し、「弱った筋肉を動かすために必要な痛み」だと分かれば、安心してリハビリに取り組むことができるというわけなのです。

そんなリハビリ継続中の先月半ば、一週間ほど九州の実家に帰省していた際に、たまたま親戚の叔父さんに、同じような話を聞くことになりました。70代前半の叔父さんは、以前、会社で労災の仕事を担当されていたらしく、会社で事故に遭った人たちの状況を詳しく調査し、報告書を書いたり、フォローしたりする部署で働かれていたというのです。

「3ヶ月が勝負だよ。それをすぎると症状固定してしまうからね。手術が無事に済んで、普通に暮らせるようになったら、病院はそこまでしか診てくれない。手足の不自由さが残ってしまわないように、皆必死でリハビリしてたよ。泣きながら手足を動かしてたよ」

えええ。そんなに痛みと闘かわないと、元通り動く身体を取り戻せないの?でもそういえば、先生もそんな話をしていました。「あまりの痛みにリハビリの途中で失神してしまった患者さんがいて、大変だったんですよ」って。

症状固定だなんて、腕が以前と同じように使えないなんて、絶対嫌だ。自分の努力でなんとか改善するのであれば、痛い痛いと文句いわないで、せっせと頑張るしかないんだ。叔父さんの話を聞いた後、そんな気持ちで自宅に戻って来ました。帰って来た翌日も朝から病院へ。

「あ、今日はひと山越えたみたいですよ」

むちゃくちゃ痛いストレッチの後、わたしの腕はこれまでで一番よく挙がりました。肩関節を後ろに下げる動きが、肩甲骨の動きとともに滑らかになった気がします。関節は動かすたびに、まだゴリゴリと音を立てるのですが、それもリハビリを続けていくうちに改善していくのでしょう。これでまだ動きが悪い部分は、今月末に関節にヒアルロン酸の注射をして、改善を目指します。

自分の身体に責任をもつ。怪我をして、これまで以上に強く意識するようになったことです。それは自分の身体の声をよく聴きながら、動くことを習慣化するということ。この先もずっと忘れないようにしたいと思います。




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宮本松
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