079.洋服の中に居る
予想よりも短くなった髪の毛をしきりに触りながら、考える。
ショートヘアーに似合う服ってなんだろうと。
そしてこんな言葉を思い出していた。
「洋服の中に自分が入っている、実はいちばん身近な空間」
洋服の中に居る、という感覚。
ただの服なんかじゃない、「自分が居る空間なんだ」その人はそう語る。
洋服は着心地重視だったり、動きやすさだったり。
もしくは憧れの人みたいなイメージだったり、なりたい自分像だったり。
私はこんな気分、こう見られたいの意思表示の形としての洋服だと思っていた。
洋服の中に居る、自分という存在を纏う空間という捉え方が深く印象に残っている。
その空間にあるものってなんだろう?
心地良さや肌触り、包まれている安心感。
そして自分を喜ばせる、そんな言葉もまた浮かんでくるのだ。
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「意外と乙女だよね」そんなふうに言われるとドキッとする。
あ、バレてるって。
レーストップスにジーンズ。ロングプリーツスカートにTシャツ。
チャイナ風のトップスにカーゴパンツ。
シャツワンピースでシャンとするのも、一枚でストンと着るワンピースだって。
シンプルだけど、甘辛みたいな服が好き。
これが好き、ってはっきりくっきり言えて、これが私ですと出せたら苦労しない。
洋服だってそうだ。
願いは洋服の中にいる自分が纏う空間で、可愛いにキャーキャーしていたい。
それは自分さえ良ければの意味ではなく、心地良さのなかには周りから理解されたい、あなたとコミュニケーションがとりたいって意味も含まれている。
その空間は結構優しい、そのために大人になってきた。
自分の魅力を表現することに遠慮はいらない。大丈夫、自分の中の子が笑う空間を大切にすればいいだけのことだから。
ね?そうだよね。
minaの蝶々はふわりと舞う。