23/2 和歌山・奈良紀行③
名古屋から特急で3時間もしたところだろうか。遂にJR東海の果て、新宮に到着した。
もうJR東海の未乗区間も垂井の特急ルートと新大阪〜京都の新幹線だけになった。継続は力なり、高校の頃から東海のローカル線に乗りに行っておいて正解だった。
新宮駅前を散策。意外と自転車で動く人が多い印象を受けた。事実市街地内は比較的コンパクトにまとまっている他、比較的平坦なので自転車移動でも苦労はなさそうである。
熊野速玉大社へ。上(本宮)まで行きたかったが流石に時間の関係で断念した。
よく考えてみると朝に名古屋、そのまま新宮を経由し、観光もしつつ和歌山のホテルまで行くというどう考えてもおかしい日程なのだが、この辺はアパホテルが存在しないのである。アパホテル全県制覇を目指す為にこの様な無理日程になった。
割と想像よりもこぢんまりとしていたが、美しい朱色と神聖な木々からその凄さの片鱗を感じ取ることができた。
出ていく間際に、高齢団体客とすれ違う。高齢者の団体旅行もできるくらい、コロナの存在感はだいぶ薄れたわけだ。
行く予定はなかったが、吸い込まれるように城跡の頂上まで行ってしまった。なぜかは自分も分からない。
計画の列車を普通に逃した。しかし美しい。素晴らしい。旅程なんてのはガチガチに決めたらだめで、最低防衛ラインだけ確保すれば残りは自由に動いていいのだ。
阿須賀神社を訪問。実はここに曲がる瞬間まで前の普通に間に合ったが、なんとなく。
世界遺産推しがすごい。周辺は酒屋や何かの店など本当に地元に密着した街だった。
本当にどこも一般的なイメージの地方都市と異なり人々が普通に自転車で買い物に来ている。これは驚きである。
速玉大社と明日香神社も、ともに神社がまちの拠点になっている事を強く感じ取れた。向かう道が両者美しい。
また、新宮の街なかは「三重」と「和歌山」が共存しており、まさに県境の街といった様相を呈していた。
昼飯にマグロ丼をいただく。これで1100円なのでコスパは良い。
皆から新宮のマグロは美味しいと聞いていたがガチだった。列車の時刻がギリギリになって急いで食べたのでしっかり味わえなかったのが残念。
会計を済ますと「おおきに!」と大将。そうかここは和歌山県、関西だ。
急ぎで駅に向かって、紀伊勝浦までの特急券を買う。この距離で660円、ちょっと割高な気もするが…まあ仕方ない。
18切符旅なら流石に重いが、今回は名古屋から普通に切符を買っているため、割と軽率に特急課金は可能だ。
定年寸前の車両から眺める海。なんだか哀愁もあり、旅情もあり。
揺られること約20分、紀伊勝浦に到着した。
涼しい風と、緩やかに東へ向かっていく雲。広がる海。
旅そのものである。
JR西日本のメロディが流れる。なんだか少し違和感もあるが、和歌山県なのだ。
あまりにも雰囲気が良い。THE観光地である。
駅前は昭和の情景をそのまま残しているといった感じだ。きっと夏は毎年賑わうのだろう。
シーズンの真反対に来た故、哀愁寄りの旅情を強く感じられた。
海水浴の時期に賑わうことを思い浮かべたり、バブル期の観光ブームの頃の賑わいを思い浮かべたりすると、かなり味がある。
キハ85にはおそらく人生最後の乗車となった。ありがとうございました。最後にこの車両からこの景色を眺められたのは本当に良かった。
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