ラッキーだと思われる人生にも隠れた努力がある
めっちゃラッキー！
これまで生きてきた中で何度思ったことか。数えきれない「ラッキー」に恵まれていると最近まで思っていて、周りの人から「ラッキーな人ね」と言われることも悪い気はしなかった。だが、ある時ふと気がついた。
「ラッキーな人ね」といっている人の言葉の中に「嫌味」が含まれているということに。子供みたいに素直に受け取っていた私はそれに気がついてこっぱずかしく、また自分の浅はかさに穴があったら入りたい状況にもなった。
ラッキーというニュアンスは良い意味にも使われるが、使いようによっては、何もせず『棚からぼたもち』を連想させるから、どんな場所でどんな風に言われたかが日本語の難しいところで、言葉に意味をそのまま受け取る傾向のある私にとっては読み解きが難しい問題だった。
ラッキーとはLuckyを和訳すると「幸運な」となる。日本語で表記すると、また違ったニュアンスになるのだけど、ラッキーと言われると何も努力せずに手に入れると思われるのは否めないし、言われ方によっては落ち込むこともあったりした。
でも、自分自身はどうなのかと振り返った時、確かに棚からぼたもちのように本当にラッキーな場合も何度か遭遇することもあったが、それだけじゃないことも多々あったことも確認できたから、この言葉に意味を私なりに解釈することにした。
ラッキーで何が悪い。解釈というよりも力技で幸運だと思い込みたいようだが、それはある人の言葉によって救われることになる。
「人生何もせずに与えられるものはない」
その人は私のラッキーな話を聞いてそう言ったのだ。どんなことにも原因と結果があり、何もせずに得られる結果はないとその人は言っていた。要するに、ラッキーと思わせることにも目に見えない行動や自分では認識できない努力があったのではないかと分析し、それが何かということを明らかにすればわかりやすいだろうと言った。
例えば、誰かに見出される才能があったというなら、それを人知れず磨き続けてきた本人の努力があっただろう。多くは努力を努力と思わずに行動しているから他の人にもしいては本人も気がつかず、良い結果を得た場合に「ラッキー」と思ってしまい、その後の継続性を逃してしまうのだが……。
私の場合はと考えた時、思い当たる節があった。それは、ずっと「私は不運だ」と思っていた時期があったということだ。同じように行動していた人がギリギリ滑り込み手にした幸運に私はいつも手が届かず、幸運の一歩手前で逃していたのだ。どんなに努力しても手に入らないものもあったし、どんなに頑張っても届かないものもあり、そのたびに自分の不甲斐なさや努力不足を感じ、自分を責めていたものだ。
良い時にはそれを忘れてしまうもので、言われて初めて自分がやってきたことに気がつくこともある。だから自分自身もちゃんと自らを俯瞰することが大切であり、自分の位置を確かめることも必要になるのだ。
そしてもう一つ気がついたことは、必要なことは必要な時にしか起こらないってことで、どんなに努力しても手に入らなかったものはその時に必要じゃないものだということ。負け犬の遠吠えのように聞こえるかもしれないが、私自身の経験として、それが何度もあったので書き記しておく。
もしあの時にあの道へ進んでいたら、違う人生だったかもしれないと何度も思うのだが、それは良い意味で「今が良い」という証になっている。あの時順風満帆に物事をクリアし、その道へ進んでいたらそのあとに繋がるのは困難な道かもしれないし、今の幸せと思える生活はなかったかもしれない。
そうやって、自分の努力と思える行動を続けることは大事なのだが、もう一つ大事なことは、私達は自分だけで生きているのではないということだ。ラッキーと思えることが重なると、それを全て自分がやったことだと勘違いしつい天狗になってしまうのだが、自分一人でできることなどこの世にはほぼない。もちろん行動するのは自分自身だが、そのきっかけになるものや目には見えないものの手助けによるものだと思えた時にこそ、幸運が降ってくるということを認識しなければならない。
売れっ子芸能人が不運に見舞われるとメディアはこぞってスキャンダルを書き連ねる。それをみた一般人は「天狗になったからだ」「調子に乗ったからだ」と口々に言うが、その芸能人も隠れた努力があったからこそ売れっ子になったのだろうし、何より私たちに大切なことを教えようとしていることを忘れてはならないと思っている。
「自分自身はどうなのか？」
調子に乗って、道を踏み外すことはないのか？ 全てのことに感謝できるのか？ 私達に大切なことを投げかけてくれていると思うと、この経験を糧に頑張って欲しいと思う。投げやりにならず、未来をもう一度描いて欲しい。
そして私達は、自分自身の人生を色んな人に疑似体験をさせてもらいながら進めて行けることに感謝したいと思う。そしてラッキーの言葉の意味をもう一度考えようと思う。