肩の痛み(腱板損傷)
腱板損傷が起きやすいスポーツ
野球・ソフトボール・バレーボール・テニス・水泳・やり投げ・砲丸投げ、こんなところでしょうか?腱板に特に負荷の多いスポーツ。ですがほかのスポーツでも起きますし、日常生活でもなることもあります。
腱板とは
肩のすじとか腱板とか回旋腱板とかローテーターカフ(Rotator cuff)等いろんな呼び方がされますが、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋という4つの筋肉のこと。いわゆる肩のインナーマッスルことです。この4つの中で棘上筋が圧倒的に損傷頻度が高い。
損傷の種類
腱板が完全に連続性が断たれる完全断裂と一部が切れる不全断裂・部分断裂があります。
完全断裂では基本OP(手術)対象ですが、不全断裂・部分断裂では保存療法(手術をしない)で回復します。しかしながら、不全断裂・部分断裂でも完全断裂とそれほど変わらない痛みや治療期間が必要になってきます。
完全断裂の場合
腕はほとんど上に挙がらない。せいぜい20°~30°がいいとこ。上げようとするだけでも激しい痛みあります。
不全断裂・部分断裂の場合
腕がほとんど上がらないものから90°以上あげられるもの、損傷程度によりさまざまです。
私の経験上、最初の段階で90°以上挙がるか・あがらないかで経過は大きく変わります。どんなケガにも言えることですが、負傷後すぐに治療を開始する場合と1~2週経ってしまっている場合と1か月以上たっているものでは最終的な仕上がりも違ってきます。早い方がより100%に近い状態に戻しやすいので、できるだけ早く通院開始してください。
治療経過
①安静固定期・・・・・・・・およそ3~4週 強固な固定と物理療法及び状態管理
②固定+他動運動期・・・・・・・・1~3週 ①+院内での施術者による可動訓練
③固定+自動運動(抵抗なし)期・・1~3週 ①②+院内での自力での可動訓練
④固定+自動運動(抵抗あり)期・・1~2週 軽固定+術者が抵抗をかけての自力での運動
⑤自動運動(一般的な抵抗運動)期・1~2週 重りやゴムでの抵抗下でのトレーニング
⑥自動運動(専門的な抵抗運動)期・1~2週 重りやゴムでの抵抗下でのトレーニング等
※⑥は職場や部活などで特に肩に負担のかかる人にのみ行うため、通常は⑤で日常生活動作のリハビリをして終了となります。
経過が良ければ最短で2か月程度で運動復帰できる計算ですが場合によっては4か月以上かかることもあります。
最短で治る秘訣は
⓪ちゃんと通院・・・現状把握は大事ですし物理療法で回復を早める
①固定していなくてはならない時期はちゃんと固定・・・すごく大事
②安静が必要な時期はちゃんと安静・・・とても大事
③動かすことが必要な時期はちゃんと動かす・・・痛くて嫌な時もあるけれどやる
④トレーニングの時期はちゃんとトレーニング・・・めんどくさいけどやる
これらをちゃんと守れればそれだけ早く治ります。
※当院では一般的な整形外科と比べて固定期間を長くとります。その方が職場や運動・競技復帰が結果的に早まるからです。急がば回れという事ですね。