野球少年の母と『おにぎり丸』#おむすびの輪
君が野球少年だった頃、週末に練習や試合があるといつも、お昼用におにぎりを2つ持って行ったね。
料理が不得手で、朝に弱いへなちょこな母だから、作らなきゃならないのがおかずいっぱいお弁当、じゃなくてもよかったのは救いだったけど、それでも、おにぎりの具には、毎週アタマを悩ませてたんだ。
具にしようと思っていた前の晩の唐揚げをうっかり全部食べてしまってたり、朝寝坊して鮭を焼く時間がなかったり、タッパーに梅干しが一粒も残ってなかったり…。
「ゴメン、おにぎり二つともツナマヨでいい?」ってきくと、君はわりとのんきだから、一瞬「えっ」って顔をして、でもすぐに「いいよ」と言ってくれたのだけれど。
そんな母を助けてくれたのがスーパーで出会った『おにぎり丸』なんだ。
『おにぎり丸』は角煮だとか、カレー、生姜焼き、照りマヨ…なんて、おかずみたいな具が冷凍で小分けになってて、それを朝、熱々のご飯で包んで握っておけば、食べる頃にはちょうどいい感じになってくれる。便利で美味しくって、初めて出会った時、母は感激しちゃったよ。
君はカレーはあまりお好みじゃなかったみたいだけど、角煮と生姜焼きは美味しいと言っていたね。『おにぎり丸』が冷凍庫にいてくれれば、おにぎりが2つともツナマヨなんて残念な事にはならないからひと安心。
あと、試合の朝でも母はちょっとだけ長くお布団の中にいられるようになったんだよ!
野球少年だった君はあの頃よりも随分と大きくなって、今は吹奏楽少年になっているけれど、週末の吹奏楽部の練習の時には、あいかわらずおにぎりを持っていって食べてくれる。おにぎりの数は1つ増えて3つになったね。
母は『おにぎり丸』の力も借りて君のおにぎりを握るよ。
もうすこしの間だけね。
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こちらは、某コミュニティで今年3月に、あるイベントで発行予定だった冊子掲載用に寄稿したものの改定です。テーマは「野球とごはん」。
この社会状況より、イベント開催が延期になり冊子の制作も一時ストップしています。私は家庭の都合もあり残念ながらこちらのコミュニティは退会してしまったのですが、この原稿の掲載はコミュニティの責任者の方に確認しご了解をいただいています。
中学卒業したら高校はきっと3年間ずっとお弁当だよという現実について。この原稿を書いた時は気づいてなかったので、もうしばらく見て見ぬ振りをしておきます。
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2020年9月23日追記
ハスつかさんのこちらの#おむすびの輪 にまぜていただきたく。
公開済みの記事なうえ、文中おむすびでなく「おにぎり」でたいへんずうずうしいとは思いましたが、#おむすびの輪タグを追加して更新しました。
ハスつかさんの記事のおむすびは、ほんとうにどれもこれも美味しそうで。毎日楽しみなのです。