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【連載小説】ケモ耳っ娘になったからにはホントはモフられたい[#152]閑話8 聖夜の星に願う/ミリア
ケモ耳っ娘になったからにはホントはモフられたい~前世はSランク冒険者だったのでこっそり無双します~
閑話8 聖夜の星に願う/ミリア
※「100 聖夜祭/ニール」「閑話6 聖獣たちの聖夜祭」の、ミリアサイドの話です。
◆登場人物紹介(既出のみ)
・ミリア…主人公リリアンの友人で、『樫の木亭』の給仕(ウエイトレス)をしている狐獣人の少女。デニスは同じ孤児院育ちで兄代わり。シアンとは義理の親子(といっても、関係性は兄妹のようなもの)
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今年の『聖夜祭』は、久しぶりにシアンさんとデニスさんと一緒に過ごせるんだと思ってた。
ううん、二人とだけでなく、リリちゃんやニールくんやアランさんも。皆一緒でいつもにまして賑やかな『聖夜祭』になりそうだなって。
ところがちょっとした事から皆は喧嘩別れをしてしまって。そのままリリちゃんたち3人は旅に出てしまった。
おかしいなとは、思っていたのよ。
何があったかはわからないけど、あんな風に相手の話も聞かずに怒るなんてリリちゃんらしくもない。店を出ていく時にシアンさんは怒った風をしていながらも、私の方を見て少しだけ頷いて見せた。心配するなと、そう言っているように感じた。あんなに二人を怒らせたのに、アランさんがあまり落ちこみもせずにいるのに違和感を覚えてはいた。
あれから数か月がたつけれど、旅をしているはずの3人からは何の音沙汰もなかった。
ニールくんたちが『聖夜祭』の日に屋台を出す事になった。その屋台で売る冒険者向けのアクセサリーを作ってほしいと頼まれ、素材として渡された物の中に見覚えのある物があった。
5色に光る不思議な鳥の羽根。アランさんによると、これは鳳凰の羽根なんだそうだ。
私も同じ物を一つだけ持っている。以前、こっそりとシアンさんが私にくれた。これの正体は教えてはくれなかったけれど、どうやら貴重な物なんだろうと思っていた。
それが一つではなく、いくつもある。
ニールくんはああ見えても王族の一員だから、王様か先王様か誰かにでも貰って来たのかもしれない。でもこれはそういうのじゃないような気がした。
アランさんはある人に譲ってもらったのだと。そのある人が誰かとまでは言わなかった。
さらに数日後、『樫の木亭』にカラクン鳥が何羽も持ち込まれた。しかも丁寧に下処理までしてある。これを持ち込んだのもアランさんだ。やはり『ある人から』と、そう彼は言った。
例年なら『聖夜祭』の前には、デニスさんが後輩冒険者とカラクン鳥狩りのクエストを受けてきて、その時に『樫の木亭』への手土産に何羽か捕って来てくれる。
でも今年はそのデニスさんが旅に出ていて町には居ない。カラクン鳥の調達はどうしようか、ギルドに依頼を出そうかそれとも何処かから買わせてもらおうかとか、そんな相談をしていた矢先だった。
ああ、そうかと、すっと腑に落ちた。
何があったのかどんな事情なのかは、相変わらずわからないままだけれど。
でも大丈夫だ。やっぱり皆は喧嘩をしていたわけじゃない。だから3人は帰ってこないわけじゃない。
別に心配はしていなかったけれど、今まで横に傾げていた首を縦に振れるくらいには、すっとした気分になっている。
きっと3人もどこかで『聖夜祭』を祝うだろう。帰ってきたらお互いの話を語り合えるよう、3人に自慢ができるよう、今年の『聖夜祭』めいっぱい楽しもう。
「でもこの次の『聖夜祭』こそは、皆で過ごせたら嬉しいんだけどな」
そう聖夜の星空に願いを呟いた。
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(メモ)
5色の羽根(#44)
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