記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

【7 Days to End with You】ありがとうを伝えたい【プレイ感想】

目を開けるとベッドの上、すぐ傍には見知らぬ女性
かけられた言葉の一つとして分からない

身振り手振りで何かを伝えようとする彼女に応えたい
主人公が何者で、彼女がどうして助けてくれるのかを知りたい

あなたと、わたしを知る7日間の物語


01. 【7 Days to End with You】について

言葉を知り、世界を知り、君を知る。

この物語は、貴方の解釈で完成します。
貴方が感じ、受け取ったすべての物語は、すべて正しいでしょう。

一度では理解できなくても、
貴方には物語を何度も繰り返すチャンスがあります。

これは、たった7日間の短くて長い物語。

02. 感想(ネタバレ含)

主人公が目を覚ました後、すぐ傍にいた彼女がかけた第一声

「…あなたは?」という警戒を含んだ様子か、
「…起きた?」「…大丈夫?」と心配されているのかさえ分からない

彼女の話す単語と、身振り手振りなどの与えられた情報から
言葉の意味を類推して、自分なりに解釈を深めていく

物の色や数量については視覚情報もあって伝わりやすい
反対に、名詞や動詞は広義を含むため特定が難しかった

分からないなりに言葉の意味を当てはめていくうち
自分の中で勝手にストーリーが組みあがっていくのが面白い




END 1. おやすみなさい

彼女の住む家を見回ると、彼女はどうやら高度な錬金術師みたいだ
主人公は彼女によって作られ、そのたびにまた死んでしまう

恐らく主人公の身体は永くは保たず、7日間で限界を迎えてしまう
身体が朽ちるたびにどこかで材料を調達し、また身体を錬成するのだろう

なぜ助けてくれるのだろう、なにを伝えたいのだろう
言葉の意味さえ分からないが、彼女に「ありがとう」を伝えたい




END 2. 隠し部屋

隠し部屋のパスワードが主人公の名前に設定されていた
彼女にとって主人公は、死んでしまった恋人だったのかもしれない

そしてまた、主人公を生き返らせるために
多くの人間が錬金術の素材にされていた

主人公が生きた数と同じだけの屍の上に立っている
自身も屍だと知りながら、彼女と同じ罪を背負って生きる




END 3. 7 Days to End

目覚めるたびにすべてを忘れて、彼女と出会いまた別れる
これまでも、これからも7日間の物語は繰り返される

彼女にとっての罪は、主人公にとっての罪でもある
せめて終わらせるなら、主人公の手で終わらせてほしい

なにを言えば彼女は救われるだろう、どうすれば償うことができるだろう
たった一言ですら満足に伝えられないことが、とても歯痒い




END 4. with You

たとえ世界が二人を許さなかったとしても
言葉を、気持ちを伝えることは諦めたくない

「また会いたい」「ありがとう」「愛してる」
いろんな思いと祈りを込めて、彼女の名前を呼んだ




03. まとめ

もともとプレイヤーの解釈に委ねる部分が多いストーリーなので、
作中の言葉足らずはもちろんのこと、考察の振れ幅も非常に大きい

新エンドに関しては、途中で追加されたこともあり
明確にこれといった描写がないのも、作品の印象付けに関わっていると思う

二人の過去、もしくは遠い未来や違う世界の話か
あるいは彼女が錬金術を題材にして描いた空想の物語だったのか

物語の解釈を決めるのがプレイヤーの醍醐味で、この作品の面白いところ

ちなみに作中の単語は、既存の言語と暗号化の知識によって解読できる
ゲームとしての攻略を考えてしまえば、単純な解析作業になってしまう

ネタバレしてしまえば大したことではないのだが、
決められた物語の答えを探すよりも、自身の感情に素直になるのが正しい

この作品をプレイするうえで、謎の単語の意味や物語の中身よりも
赤髪の彼女のことを理解したい、という印象を抱く人が多いと思う

彼女の表情や仕草から言葉の意味を感じとる体験は、
作者自身が経験した「コミュニケーションを取りたい」という熱意そのもの

コミュニケーションの難しさと、作品コンセプトがうまくマッチしていた

「貴方が感じ、受け取ったすべての物語は、すべて正しいでしょう」
この作品が掲げている言葉こそ、コミュニケーションの本質を説いている

言葉は手段であって、それ単体では意味を成さない
私たちが思う以上に、相手の表情や声色・仕草などから得られる情報は多い

相手に伝えたい熱意と、応えたい意志があって初めて言葉は交わされる

どうか言葉の強さや語感に惑わされることなく、
言葉の意思を読み取り、交わすべき想いを大切にできる人間でありたい

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集