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「まちの栄養士さんプロジェクト」地域の人たちの「食」を解決する栄養士さんでありたい



1. きっかけ

地域に目を向けると多くの方が「食」で困っていました。

1. 低栄養(栄養失調)の高齢者が多い
2. 独居老人の孤独死

私は宅配弁当と通所事業を約8年間ほどやっていますが、この間に1000世帯以上の高齢者宅へお弁当を届けてきました。

この間には、自宅で倒れている方も多くいましたし、部屋の中を這って出てきた人もいました。
家のゴミ袋からウジ虫が出てきた家庭もありますし、亡くなっていて警察から電話をもらった家庭もあります。
話せばキリがないくらいの膨大な家庭の困りごとが次々と溢れてきます。

私は高齢者支援だけでなく、子どもの貧困問題や困窮支援、フードバンクなども運営していますが、活動を通して食品ロスの問題、困窮の問題様々な問題が浮き彫りになりました。

私は、約20年間の活動を通して見えてきた課題を解決するために、一旦これまでやってきたことをまとめ、各地域で同じように活動をしてくれる人を増やそうと考えました。

2. 目的・ミッション

目的・ミッション

私は管理栄養士です。
ですので、活動のベースには「食」があります。
地域の課題を「食」の視点から見つめると本当に多くの課題が山積していることに気づきます。

私は生活の「困った」を「助かった」に変える栄養士さん達の仲間を増やしたいと考えています。

3. プロジェクトを作るに至った背景


1) 在宅の高齢者が多い
在宅で生活をしている一人暮らしの高齢者は65歳以上で700万人いると言われています(令和2年度)

65歳以上の在宅の高齢者

昔は施設で生活をしたくないという人が多かったのも理由ですが、最近では施設で生活をしたくてもできない高齢者が増えています。理由は介護人材不足です。

宅配弁当をしていると、様々な高齢者と出会います。

家で倒れているのを見つけては救急車を読んだり、地域包括センターへ連絡をするという事をしています。

2) 超少子高齢化と介護人材不足
2026年度に必要な介護職員の数約240万人が必要とされていますが、全国の介護職員の実数は215万人(2022年)と介護人材の不足が問題となっています。

介護人材の必要数と人材の必要数について

私は介護事業をしていますが、多くの事業所が閉鎖をしています。人材の確保ができずにサービスを減らされた事業所もあります。退院後に施設に行けずに自宅で生活を送っている人も多くいます。

既に起き始めているのですが、今後はどんな状態の人であっても、地域で生活をするということが当たり前になってくるのではないかと思っています。

3) 潜在栄養士の活用
栄養士って全国に116万人もいるんですよ。でも、仕事として栄養士をしている人はとても少ないんです。

栄養士・管理栄養士の数

私も介護事業をしているので栄養士としてと、管理者としてこの職種を見つめるのですが、実は栄養士って配置基準(施設を運営するために必要な職種や人数)にカウントされていないんです。

小さい事業所であれば、栄養士を置く必要はないので、栄養士としての募集があることが滅多にありません。

栄養士の採用自体は多いのですが、業務内容を見てみると、ほとんどが調理業務になっています。結局は調理要員として募集されるという事です。

管理栄養士になると栄養指導がメインになってきますが、大概の場合新人さんが管理栄養士として栄養指導に入ることはありません。

地域には本当にたくさん「食」の困りごとを抱えている方がいらっしゃるんです。

でも、そういう専門的なところは病院や施設にいかないとサポートしてもらえず、悩んでいる家庭も多いんですね。
食のエキスパートである栄養士が、その専門性を資格を使うことなく別の仕事をしているのはとても勿体ない気がしています。

そこで、今事業を通して潜在栄養士が活躍できる場を増やしていきたいのです。

4. 活動を通して見えてきたこと・課題

宅配弁当を行ったり、様々な仕事や活動をする中で見えてきた課題をこちらに挙げてみます

●在宅向けの介護食の販売ルートがない
在宅の家庭向けの介護食の品ぞろえがあまりないんですね。インターネット注文が中心なのと、個別での購入がなかなかできないという課題があります。
私たちは色々な介護食や栄養補助食を知っているのですが、そういう事を一般的な方は知りません

●宅配弁当を依頼しても食べれない
弁当を届けて欲しいという依頼は多いのですが、実際に家庭に行くと食事以外の困りごとが多いんですね。
宅配弁当の依頼はとても多いのですが、話を聞いてみると認知症の問題やご家族の介護の問題、嚥下の問題など色々な問題を抱えている事が多いです。
ですので、ただお弁当を提供するだけではしっかりと食べるところまで至らない方が多いのです。

●退院後の食事が困難
退院後、家で直ぐに食事を取れる環境にない方が多く病院の栄養士さんからの相談がとても多いです。
病院食の場合、それらの情報をしっかりと弁当業者に説明できないご家庭も多い為、一旦私のような栄養士が対応して受け入れるようにしています。
例えば同じ腎臓病でも、塩分の量やたんぱく質の量は症状によって違っており、そういうきめ細やかな対応をすることが地域にでると難しいです。

●高齢者向けの宅配弁当業者が少ない。施設が食事提供に困っている。委託事業所が閉鎖している。
最近多いのがこちらの相談です。介護の世界の人材不足も課題となっていますが、食の分野でも人材不足は深刻な課題です。
これまでのような厨房運営が難しくなってきており、食事提供の仕方を変えている事業所が増えています。

5. 「まちの栄養士さん」とは

「栄養士」の資格を持っている人や栄養士を活用する企業や事業者が、町の中で話し相手や栄養サポートをしながら町に住む人たちとつながる仕組みです。

6. これまでやってきたこと

<現在行っているもの、直近まで行っていたこと>
・デイサービス「みやこや」運営
・宅配弁当
・介護予防(短期集中)による栄養指導
・フードバンク事業

介護予防体操と栄養のお話
ファミデリ

7. 具体的な事業とマネタイズ

現在、行っている事と、今後スタートさせるために準備をしているものを中心に書いています。
栄養士としてやれることはたくさんありますので、都度追加してみようかと思います。

<個人向けサービス>
〇在宅向けの栄養指導 5,000円/回
〇献立表作成(1月分)3,000円 1回の栄養指導付
〇オーダーメイド献立表(1月分)8,000円 1回の栄養指導付
〇宅配弁当 550円(おかずのみ 500円)病院食 600円 形態食650円
〇一緒に作り置きサービス(5品)10,000円 ※材料費込み
〇在宅向けの栄養指導をしながら調理実習 10,000円
〇自宅である食材を使って料理しますサービス(2時間)8,000円
〇介護予防教室 栄養(90分~) 5,000円~
〇宅配弁当を通した見守りレポート(遠くに住む家族向け) 5,000円

<施設向け>
〇施設弁当(食事提供)500円~
〇献立作成(施設用)20,000円~
<店舗向け>
〇宅配弁当立ち上げ支援 月10,000円~
<企業向け>
〇栄養献立ソフトの代理販売(栄養士のニーズに合わせて提案する)売り上げの15%
〇食材の卸し 売上の10%

8. ロードマップ

9.どういう社会を目指すのか

これらのプロジェクトを行った先にどういう社会が実現するといいのかを書いてみようと思います。

1)町づくりや見守り支援ができる栄養士を増やす
宅配弁当や在宅栄養指導を通し、地域で支えることのできる栄養士を増やす

2)まちの栄養士さんを目指す管理栄養士・栄養士のネットワーク化
同じ思いの栄養士たちや仲間とつながる。食支援についてのスキルシェアを行っていく。

3)介護保険や見守り支援の場に積極的に参加・介入できる栄養士や企業、支援者を増やす
地域支援において介護の分野にしっかり関われる栄養士を育てる。在宅支援に入ることでよりきめ細やかな食のフォローが可能となります。

4)企業や行政とタイアップできる栄養士を増やす(起業栄養士を増やす)
まちづくりや介護予防等において、行政や企業に「栄養」に特化した事業提案ができる栄養士を増やす。

5)各地の県産品を使った介護食の開発(食品ロスの解決)
各地の食材を介護食に加工し、まちの栄養士さんのネットワークを通して全国へ販売する

6)栄養士の立場向上
政策提言の場に栄養士が入れるようにする。特に介護予防、地域包括ケアシステムの場に栄養士として発言ができるようにする。

10. 最後に

こちらに書いたのは、夢物語ではありません。
でも高校時代は本当に夢物語でした。時には失敗をし挫折をしながら自分の思い描く社会を作りたくて何度も諦めずにチャレンジしてきているものです。
2025年という節目に改めてこれまでの20数年間を振り返ると共に、いよいよ最後の仕上げとなるプロジェクトへとかじ取りをしていきたいと思います。
もし、ご興味のある方がいましたら是非お声かけください。

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