『海に眠るダイヤモンド』最終回、時代を越えた壮大な純愛&熱いヒューマンドラマだった
『海に眠るダイヤモンド』 第9話、最終話
終わってみると、壮大な純愛ドラマ&ヒューマンドラマでもありました。「テレビドラマ」という意味の「ドラマ」とは別の、本当の意味での「その時代に生きた端島の人々のドラマ」「荒木鉄平(神木隆之介さん)の人生=ドラマ」、それらをいづみ (宮本信子さん)が玲央 (神木隆之介さん︰2役)とともに追い求めたドラマ、だったように思えます。
日本中を転々としながらも朝子 (杉咲花さん)のことを常に思い続け、鉄平が最後に暮らしたであろう場所には一面に咲くコスモスが・・・。そして、そこはかつて活気に満ち溢れた端島を望める場所だった・・・。
なんという鉄平の朝子への愛、端島への愛なのでしょう。素敵な光景でしたね。音楽と相まって。
ちなみに壮大さとロマンを感じるメロディーがどことなく『タイタニック』の映画を思い出させる…。
ドラマでは、端島が最盛期だった頃 (1955年頃)をメインに、現代(2018年)と交互に描き、過去に戻りつつ話が進んでいったのですが、最終話のラストでは2018年から2024年へ、本当の現在位置に物語が進み、もう一段階エンディング(時間軸)が準備されていたことに驚きました。
リナ(池田エライザさん)とその子供・誠を守るために鉄平の母・ハル(中島朋子さん)に預け、自分はヤクザから追われる身を引き受ける鉄平。それらの事情を全く聞かされることのなかった朝子は時を経て現在のいづみとなり、鉄平にそっくりのホスト・玲央とともに鉄平の行方や当時の真相を追う。
端島での出来事や人間関係を調べていくうちに、玲央の心も動かされていったのでしょうね。
心の奥底に眠っていたダイヤモンドも光り始めたのでしょうか。(なんちゃって!なんだか気取りすぎな文章にちょっとウケる)
それにしても、いづみの社長秘書(酒向芳さん)が、リナと進平(鉄平の兄=斎藤工さん)との子供・誠だったとは衝撃すぎました。そこは相当なサプライズを狙った配役だったのかもですね。
単なる控えめな執事のおじさんと思わせておいて…。
酒向さん、いづみ(朝子)と親子ほどの年齢差があるようには見えないですもんね。かといっていづみの息子役の尾美としのりさんと大きく違って見えるかというとそうでもないし…。
年齢不詳なところが酒向さんに合っていたのでしょうかね。
最終的には、とある青年たちの純愛・群像劇・ヒューマンドラマだった印象ですが、そこに昭和の高度経済成長に貢献した端島の人々や炭鉱の仕事や暮らしなどの社会性(戦争被害を含め今の人たちには無縁になってしまったかのような当時の問題)をストーリーに絡ませながら、強調しすぎない程度に私たちにうまく見せていたように思いました。
映像も綺麗でしたね。色彩のバランスや陰影の醸し出す雰囲気など、全体的に美しかったです。
そして、現在の実際の端島の姿までもが映し出され、ドキュメンタリー感が増したことで、より当時の彼らの存在をリアルに感じることができた気がします。玲央とともに追体験したような、そんな感じ。
スケールの大きい、強く印象に残った、質の高いドラマでした。