毎回息をのむ『3000万』
先週末から仕事でちょっとしたトラブル未満の、納期に影響が出そうなアクシデントを抱え、今週はヒヤヒヤ、ハラハラ、ヤキモキ状態であります。
同時にお客様への対応も考えつつ、頭の中はグルグル。早く片付いてほしい~。
ということで、ヒヤヒヤ、ハラハラといえば、NHK土曜ドラマ『3000万』。
『3000万』
平凡な夫婦が、ある事故をきっかけに突然3000万円という大金を手にし、事件に巻き込まれていく…というクライムサスペンス。
とにかく、安達祐実さん演じる主人公・佐々木祐子と、青木崇高さん演じる元ミュージシャンの夫・義光の夫婦の行動から目が離せません。
ちょっとした夫婦のいざこざの様子、口論や互いの態度が見ていてすごくリアルで、でも客観的に見ていると滑稽で可笑しくもあり。
サスペンスなんだけど、怖い場面もあるけど、それ以上に祐子と義光の必死な行動や会話の方にのめり込んでしまいます。
詐欺組織や男たちに対する恐怖感は二の次。
祐子と義光の秘密、祐子とソラ(森田想さん)だけの秘密を、視聴者の私たちは物語を介して共有している。
裏切り者を探す詐欺組織の男らの行動も、警察(刑事の奥島&野崎)の動きも、知っているのは視聴者。彼らの動きが私たちには見えているけど、祐子たちは知る由もなく。
テレビを見ながら「早く白状したほうがいい」「刑事に怪しまれてる⋯隠さず話せばいいのに」と何度思ったことか⋯。
でも息子のことを思うと秘密を隠し続けるしかないという心情もわからなくもない。
どうしたらいいんだー。
それぞれの登場人物の利害関係からくる攻防戦と心理描写がまさにエンタメ。
そしてカオス。
そこが面白いんですよね。
祐子を演じる安達祐実さん、過去にも代表作は多数あるでしょうけど、この作品も代表作に加えていいと思う!
凄くいいです。
怯える表情、困りはてる表情、ごまかしながらの作り笑顔、覚悟を決めた強い表情、あのキャンキャン声すら合っています。
これらは演者の力量によるところが大きいのでしょうけど、やはり緻密で練りに練られた脚本の出来もよかったりするのかな、なんて思ったりします。
ストーリーの展開も速さをもって展開していくけど、きめ細かく作られている感じ。
私は中でも祐子と義光の夫婦の会話が好きなんですよね。ケンカのシーンも含めて。
とにかく、言い合いの内容があるあるすぎて、共感持つ人も多いのではないでしょうか。
義光=青木崇高さんの悪気のない能天気な言動に、祐子=安達祐実さんは本当に演技を超えてイライラしてきそうだし。
そういう、現実の会話でありそうなセリフや態度によって、自然に感情が湧いてきて「意識して演じる」ことをしなくて済むような脚本なら、役者がスムーズにその役に入り込んで役者自身と同化できるのかもしれません。
それにしても、第5話では祐子が闇組織の男に脅され、特殊詐欺の片棒を担がされるという流れで、マンションの一室にかけ子として他の見知らぬ人たちと一緒に電話をかけまくるシーンがありました。
実際どこまでそうなのかはわかりませんが、なんだか本当にそんな雰囲気の中でやっているのかなと想像できるほど、妙にしっくりきている、というか、そこはまるでドキュメンタリーやその再現ドラマを見ているようでこちらまでドキドキしました⋯。
このドラマでの特殊詐欺組織の黒幕は、意外にもかけ子部屋の責任者・末次だったりしませんかね?
穏やかな笑顔とその雰囲気にかえって不気味さを感じましたが。
とにかく、祐子や義光とその息子らには早く平穏無事な日々が戻ってきてほしい。
犯罪に加担してしまっているからそう簡単には幸せな生活に戻れないかもしれないけど。
どうなっていくのか気になりすぎる『3000万』なのでした。
私の仕事も早く一件落着したい⋯。