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ドラマ感想『かぞかぞ』『新宿野戦病院』『他人事』『クラスメイト女子』

9月も半ばに入りました。10月から始まる新ドラマも続々と情報公開されています。
朝ドラ『虎に翼』も、もうあと1週。15分とはいえ、半年分の脚本を作成するのはかなり大変だったでしょうね。

NHKの『100カメ 大河ドラマ「光る君へ」 平安の雅を生み出す舞台裏』(9月12日放送)も見ました。『光る君へ』の制作風景や舞台裏、スタッフの努力の数々、ドラマを作るのも並大抵のことではないなと改めて思いました。

さて、今回もドラマ感想をいくつか。

  ◇  ◇

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった(かぞかぞ)』

第8話は祖母芳子(美保純さん)に異変が起こる話、第9話はダウン症の弟・草太(吉田葵さん)の一人暮らし計画の話。

初回から笑いを交えながらも泣けてくる物語ですが、8話、9話もジーンときました。

8話。芳子に認知症の兆しがあり、それを自覚しているのかいないのか、地元の大阪に一人で帰り、鮮やかに残る記憶と思い出を辿ります。

追いかけてきた七実(河合優実さん)と一緒に楽しく昔を懐かしんだかと思えば、芳子に記憶のスイッチが入り、過去と現在をさまよいはじめる。

娘のひとみ(坂井真紀さん)が車いす生活になったうえに何度も手術をすることになり、芳子はひとみを丈夫な体に産んでやれなかったことを悔やみ、路上で号泣します。

その圧巻の演技にこちらも胸が痛くなり・・・。
七実や草太の母親でもあり、芳子の娘でもあるひとみが、親として娘として違う顔を見せる場面は、同じような立場の世代にはどこか自分と重なるようで思わず感情移入します。

それだけでなく、いろんな部分が視聴者それぞれの家族に重なることで「岸本家」に既視感を抱き、目が離せなくなるのかもしれません。

9話では草太が一人暮らしを計画していることを知る七実とひとみ。ひとみの心情は複雑。
寂しくもあり、心配でもあり、成長を喜ばなければならない葛藤もあるだろうけど、何より、順番的には親が先に死に、子は残ることを考えた時に、草太のことが気がかりで気持ちが押しつぶされそうになるのでしょう。

ここらへんも親の気持ちがすごく表れていましたね。

後半印象に残ったのは、草太が畑(大地?)の中の一本道を、亡き父耕助(錦戸亮さん)と歩くシーン。

草太は「こっちで合ってますか?」と耕助に聞く。耕助は「合っているよ」と優しく答えます。草太は何度も聞き、耕助は「それでいいよ」「間違ってないよ」と何度も答える。

それは一見、草太が一人暮らしを始めたアパートから我が家へ帰る道順が合っているかを尋ねているように思えたけれど、実 は、自分が進むべき道がこれでいいのかを耕助に尋ねる草太と、息子が歩み出した道を信じて答える耕助の、半分夢のようなシーンだったのですね。

キラキラと輝く前方の太陽が改めてまぶしく感じた幻想的なシーンでした。
耕助は草太の成長を見届けて静かに草太から離れていく。我が子が成長して巣立っていくことを喜ばしく思う親の思いもうまく表現されていました。

あと残すところ最終話。
もっと岸本家を見ていたい気分です。

『新宿野戦病院』

感想はいろいろありすぎるけど、なんだかんだで満足度の高いドラマでした。
テーマや伝えたい大切なことはしっかりと視聴者に伝わった気がします。

最初の印象はドタバタ感が強かったように思えましたが、それも徐々に慣れていき、むしろクセになり、個々のストーリー、全体通しての流れもよかったので、結果「やはりクドカンドラマは面白い」認定に至りました。

同じドタバタ感でも、その中の会話というか、ユーモアのセンスがあれば面白いしそうではなければ滑ってしまって空回り感があるので難しいところ。

しかも笑いのツボって人によって違いますからね。私はクドカンのユーモア、笑いの感覚は大好きです。

最終話のエンディング、桑田佳祐さんとのコラボもエンタメ感満載でした。

余力があれば、その後を描く単発ドラマでいいから作ってほしいな〜。

『クラスメイトの女子、全員好きでした』

クラスメイトのいろんな個性を好意的に受け入れるスネオのキャラクターと、味のある文章(ナレーション)がドラマを特長づけたように思います。

劇中に流れる音楽も、温かみとしんみり切ない雰囲気が出ていて、逆にエンディングはテンポのいい曲調の 「ユーエンミー」 (須田景凪さん)がドラマを盛り立ててくれました。

主演の枝松腰男役の木村昴さん、その中学生時代を演じるスネオ役の及川桃利さん、編集者・片山美晴役の新川優愛さん、ほか共通して登場する出版社の人々、毒親っぽいけど優しい面も見せてくれた父親の富士夫(皆川猿時さん)、後輩の金子君(前原滉さん)、個々のストーリーに出てきたクラスメイトの女子のみなさん、全員好きでした!

『しょせん他人事ですから』

最終話は、意外とあっさり終わったような気がするけれど、全話を通してインターネットトラブルについての現状や、私たちからは見えていない当事者たち(被害者、加害者、弁護士)の具体的なやりとりがリアルに描かれていて面白かった。

ケンティー(中島健人さん)演じる保田弁護士の軽さと手腕のギャップが心地よかった感じかな。

  ◇   ◇

他にも見ているドラマはいくつかあるけど、とりあえず今回はここまでにしておきます(長くなりそう)。

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