新卒5年目僕と、新卒1年目「カバン君」。⑤〜「挨拶」の優先順位〜
ミヤケです。
「カバン君」は僕のカバン持ちです。
カバンを持ってもらったことはありません。
一度もありません。
でも、彼は、初対面の僕の知り合いに会うと、「ミヤケさんのカバン持ちです」と言います。
*
カバン君が僕の元へ来て2ヶ月と少し。
もはや、”カバン持ったことないでしょw”なんて言いません。
本題に入る前に、最近のカバン君のことを書きます。
最近のカバン君
カバン持ちなのにカバンを持たないカバン君。
最近、スマホを無くしました。
一応断っておきますが、「私用スマホ」です。
あまり大きな声で言えませんが、一緒に温泉に行った時になくしたみたいです。
彼はその後数日間探したみたいです。
やっぱりなかったので、実家のお母さんに電話したそうです。
怒られたそうです。
かなり怒られたそうです。
カバン君は、本当にお母さんに大切にされているんだろうと思いました。
”乗っていたカーシェアの車の中にあるかも!”
と言うので、
車を手配して、運転した僕が、探しました。
ありませんでした。
それから1週間、カバン君は探し続けました。
結局なかったそうなので、新しいスマホに買い換える決断をしたそうです。
それからさらに2週間経ちました。
「スマホ買ったの?」と聞きました。
すると、カバン君は苦笑い・・・
いや、ニヤニヤしながら、
”あったんです!”と言いました。
「え!?」「どこに!?」
”カバンの中です。”
「カバン?」「カバンって?」
僕はカバン君の部屋に行ったこともなければ、カバン君の生活を管理しているわけではないので、「カバン」と言われてもわかりません。
”あのカバンです。”
「”あの”って、いつものカバンか?」
”そうです。”
カバン君がいつも持っている、休みの日まで持って歩いているカジュアルなビジネスバックです。
ここまで読んだ皆様。
当時の僕と同じ気持ちになるでしょう。
「なんでえええええええ?????!!!!???!・・!!・」
”いつもスマホを入れているポケットに入ってました!”
「”入ってました!”じゃねーよw」
勤務してくれている介護施設のメンバーにも話したそうです。
「え・・・・っ・・・」と言われたそうです。
*
以上、最近のカバン君でした。
さて、本題に入ります。
*
”いや、業務とかそういうことじゃなくて・・・”
カバン君が我が施設に来て2ヶ月になります。
カバン君が今後どのような働き方をするのかは、まだ決まっていません。
今のカバン君を知り、今後の成長を支援する役割がある僕は、実際に現場で一緒に働いているメンバーにヒアリングしてみました。
業務とか覚えられた?
業務中、不自然なことないかな?
手始めにそんな感じのことを聞いて回ってみました。
すると、思いも寄らない反応が・・・
「業務はまあ、もちろんまだまだなんですけど、それは仕方ないというか、まだ日数も経ってないので、全然問題ないんですが・・・」
「挨拶が出来てないかもしれません・・・」
ー僕:挨拶?
「はい、朝とか利用者さんを迎え入れる時や、何か声かけや動作をするとき」
ーなるほど
「スタッフに対しても、もしかすると挨拶やお礼が少ないかもしれないですね。」
気になって、他のスタッフにも話を聞いてみました。
すると、皆んな一様に言うのです。
「業務は私たちだってなかなか覚えるのに時間がかかったから、今の調子で大丈夫だと思う。でも、なんだろ、尊敬心というか・・・挨拶が少ないことで、あまり感じられないかもしれませんね。」
*
うわ〜w
きびしぃ〜w
スタッフの声に耳を傾けながらも、ニヤニヤが止まりませんw
カバン君の成長しろ、伸びしろがハンパないのです!!!
「どうもです〜」
カバン君の挨拶には、僕も以前から気にかけている部分がありました。
・お疲れ様でした。
・すみません。
・ありがとうございます。
・申し訳ございません。
など
社会人にとって至極まっとうな”キーワードたち”を、カバン君はたった一言でまとめるのです。
「どうもです〜」
以前から小さく注意はしていましたが、ミヤケはミヤケで”社会不適合者”みたいなものなので、なかなかカバン君に響くアドバイスが出来ていませんでした。
しかし、これは大チャンス!
だって、「いつも隣で働いているメンバー」が思っていることなんですから!
是非ともこれはカバン君に伝えて、”ホップステップジャンプ!!”の機会にしなければ!!
ポイントは「意識」ではない
カバン君はここから、こんな風に変わりました〜!
と言いたいところですが、カバン君は今まさに奮闘中です。
初めのうち、カバン君は「意識します!」と言っていましたが、
社会人の皆さんはよくご存知かと思いますが、
思いますが、、、
意識ではどうにもならない!!!!!
意識でどうにかなるなら誰も苦労しないわけであります。
実際、カバン君は変わらないどころか、変に意識するあまり、、、空回りしていました。
再度、カバン君と話す時間を作りました。
ー僕:挨拶ってここに来てから難しくなった感じ??
介護の”か”の字も知らない、高齢者ともあまり接したことのないカバン君が苦労するのは当然と思い、聞いてみました。
「昔から言われてました。」
ーお母さんとか、先生とか?
「ですね。」
カバン君は、”昔から”言われていたんです。
小さい頃から。
「小さい頃から言われ続けている」
皆さんもありませんか?
”おとなしい”
”うるさい”
”礼儀正しい”
”落ち着きがない”
言われてませんか?
長年かけて、ずーっと言われてきたこと。身体に染み付いていること。息をするようにしてしまうこと。
これを「意識」で変えられるほど人間は精密に作られていません。
カバン君だけでなく、みんなにあると思うんです。
それは「行動の優先順位」です。
*
例えば、カバン君、宅配のお兄さんが来ても、同業者の人が挨拶に来ても、スマホや利用者さんの記録に目を落としたまま、挨拶ができていない時があります。
「できてなかったかもしれないですね。。。」
カバン君はそう言いました。
そして続けて、
「1つのことに集中しちゃうと、他のことが同時にできないんです。」
そして、その場から立ち去ろうとしました。
*
「できないんです。」
この一言で終わらせてはいけません。ただの思考停止です。
できなくてもいいんです。最悪。
でも、重要なのは、
「出来ないことを快く思っていない人」が一定数いるということです。
芸術家やアスリートなど、特殊な才能の世界では、「出来ない。」の一言でなんとかなることもあるでしょう。
しかし、カバン君が生きていこうとしている世界は「社会」であり「ビジネス」の世界なんです。
この世界では、多くの人が、「挨拶ができないことは”よくないこと”」だと思っています。
そのことをよく理解しないまま、「できません。はい、終了」と思考停止してしまうと、何にもうまくいきません。
できないなら、できないことを理解してもらう、少なくとも”まあ、しょうがないか”と思ってもらうくらいには信頼を貯めなければいけません。
*
今のカバン君にとって重要なのは、
もちろん挨拶を練習することも然りですが、
「信頼貯金」をどんな形でも貯めていくことなのではないかと思いました。
*
<終わり>
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