日本を滅ぼす研究腐敗――不正が不正でなくなるとき(12) 2章 「O教授の“丸写し“発覚する」1

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 2020年7月。奨学金問題対策全国会議から再入会を拒否された事件から1年がたった。この年の夏はいつもにまして酷暑だった。武富士問題でかつて世話になったN弁護士に諭されて、再入会拒否についての抗議をいったんは封印した。だが暑さにうだっていると、忘れかけていたいやな気持ちがよみがえった。
 もっとも1年前よりは少し冷静になってものを考えられるようになった。なぜ私の入会を拒否するのか、本当に「一括請求」が拒否理由なんだろうか。やはり理解しがたかった。不自然である。何かおかしい――そんな直感がした。
 ふとO中京大教授の顔が浮かんだ。O教授は全国会議の共同代表だ。全国会議が私に送った「ご回答」の筆頭差出人でもある。そこには、会の内部で検討した結果、わたしの再入会に賛同する意見はなかったとある。そして拒否理由として、私が日本学生支援機構のやっている一括請求の問題について強い意見を持っているからだと書いている。つまり、O教授も「一括請求」が理由で私の入会を拒否したことになる。
 奇妙に感じた。O教授とは面識があるものの、親しいわけではない。共著で座談会をしたくらいでろくに話をしたこともない。また、全国会議のメーリングリスト上でも、O教授が「一括請求」について発言するのを見たことはない。そのO教授が、「一括請求」を理由に私の入会を拒否する意見に賛同するわけがわからなかった。

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