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#161 「調理場が暑いからエアコンを!」問題について(1)


前回は、「調理場のドライ化とは?」というおはなしでした。かなり老朽化している調理場が設計された頃の衛生管理基準が、かなり緩かったので、最新の基準に合わせた調理場に更新する必要があるわけです。
今回は衛生管理基準についてのおはなしです。

平成21年の学校給食衛生管理基準の厳格化とは

学校給食衛生管理基準についての過去記事はこちらから。

平成8年に腸管出血性大腸菌(0ー157)が全国で発生しました。それまでにもノロウィルスなど食中毒については時々発生していたようですが、死亡事故につながり、しかも全国で起こったことは衝撃だったようです。
私は、ご縁あって当時文科省で学校給食担当調査官だった、金田雅代先生と知り合うきっかけを得て、色々と当時の話をお聞きする機会をいただいたのですが、当時の対応から「学校給食衛生管理基準」を出すまでは本当に壮絶な闘いだったようです。

学校給食衛生管理基準を定めるまでの経緯

児童生徒の死亡者が出たのですから、現場は非常に混乱を極めていたそうで、「早急に対応策を講じて、安心安全な学校給食が提供できるようにしなくてはならない」ということで、衛生管理に詳しい専門家の協議会を設置されたそうです。
この協議会というのは、数時間座って議論するというのではなく、「学校給食調理場に菌が入り込むリスクがあったわけなので、その要因を突き止めて、出来るだけリスクを排除するにはどうしたらいいかを考える」ことをミッションとしたので、とにかく現場を何箇所も回ったそうです。
食材の動き、調理の手順、調理場の設計、厨房機器の扱い方などなど、早朝から移動して調理場に立ち入り、その日のうちに報告書作成する、という日が何日も続いたそうです。出入りする全員の動線図を見ながら、どこにリスクがあったのかを分析していくという作業ですよ。気が遠くなるような作業量だったと思います。

実際に金田先生から話を聞いてると、まさにプロジェクトXという感じですよ。本当に当時の関係者の皆様のご尽力には感謝しかないですね。

学校給食管理基準の法的な位置付け

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