#162 「調理場が暑いからエアコンを!」問題について(2)
前回のnote記事にも書いていますが、学校給食の衛生管理基準が厳格化されたのには、食に関する事故がきっかけとなったことをおはなししました。
今回は、それに伴った動きについて少し考察してみたいと思います。
学校給食衛生管理基準が厳格化された背景について
事故があったことだけが要因でなく、近年の食にまつわるいろんな社会情勢の変化も影響しています。厳格化に向けて後押しとなった要因について、まとめてみましょう。
1. 食中毒事件の発生
堺市で発生した学校給食の食中毒:報告書はこちらからご覧になることができます。https://www.city.sakai.lg.jp/kenko/shokuhineisei/shokuchudokuyobo/hokokusho/index.html これがきっかけとなって、具体的には動き始めています。これにメディア報道などが機運を盛り上げたということももちろんあると思います。
2. 食の安全に対する意識の高まり
食の安全に関する情報の増加: 食に関する情報がインターネットなどを通じて容易に得られるようになり、消費者の意識が高くなっているということもあると思います。
食の安全に関する法規制の強化: 食品衛生法などの法規制が強化され、原材料表示が義務付けられたり、消費期限や賞味期限の設定などと通して、消費者は食品の保存について厳格な対応を意識するようになってきました。
3. 国際的な食の安全基準への整合
国際的な食の安全基準: 国際的な食の安全基準も変化してきています。特にオーガニックへの期待から農薬や保存料の使用について影響を受けているように思います。
輸出入食品の安全確保: 食料のグローバル化が進み、輸出入食品の安全確保が重要視される中で、国内の食の安全基準も国際的なレベルに引き上げられる動きがあります。
4. 児童生徒の健康への配慮
成長期の児童生徒への影響: 児童生徒は成長期であり、食中毒などによる健康への影響が大人に比べて深刻になる可能性があります。そういう意味で、学校給食の基準については、大人を対象とする食品衛生法よりも厳しくあるべきだという考え方もあります。
アレルギー対応の必要性: 食物アレルギーを持つ児童生徒が増加していることから、学校給食におけるアレルギー対応も重要視され、より厳格な衛生管理が求められています。
5. その他
食育の推進: 食育の推進に伴い、学校給食の栄養バランスや安全性に対する関心が高まり、衛生管理の重要性も再認識されています。
災害時の備え: 災害発生時にも安全な食料を供給できるよう、学校給食の備蓄や調理体制の強化が求められ、衛生管理基準もそれに合わせて見直されています。
学校給食衛生管理基準を満たすために、必要な施設設備の装備について
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