標準守りと教育 (vol 083)
生産現場で最も基本となるのは作業標準を守る事。
この点について異論を唱える人はいないでしょう。
『作業標準を守らず不良を作ったので、その作業者に再教育を行った』
特に疑問を感じることなく、多くの場面で「再教育」を対策にする場面を見かけます。
前回、「仮説と検証」にハイライトかけました。
では、この「再教育」という行動に結びついた仮説は?
仮説が
「作業標準を『知らなかったから』不良を作った」
のであれば教育に意味があるでしょう。
では、対象の作業者が新人ではなかった時も、
「知らなかった」ことが原因なのだろうか?
と考えてみる必要があります。
こうした素朴な疑問点を見逃すことなく、
現場を預かるマネジャー達に問いかける事も拠点長としての役割です。
トップであっても、ハンズオン、現場目線に立って指導することを忘れない、
も重要ですが、一歩引いて、部下の行動を鳥瞰しながら、
気になる点を考えてもらうように仕向けることが拠点長としてより大切です。
「仮説」を明確にすると、新人の場合と熟練者の場合とでは異なる仮説を持つことになり、結果として、行動(対策)の中身も変わってきます。すなわち、
それぞれのケースでは異なる内容の教育になるはずです。
安易にワンパターンの対策になっていないか、
マネジャー達の気づきを狙った問いが以下のTweetです。
This is what I felt at today's quality meeting.
Defects occurred because Work-Instruction(WI) was not followed on the manufacturing floor. As a countermeasure, we re-educated the TM.
I think this is a common measure. You can expect some effect from the training.
Here is a question. "What is the purpose of the re-education?"
Usually, "teaching what you don't know" is education or training. It is effective for person who do not know the WI. Did the TM not follow the WI because he/she didn't know it? The content of education should change when you think about "what is the focus of the education?” Even if you give "same education" to someone who already understands the standard as someone who does not know the standard, the education may not work effectively.
It may be that "TM tried to follow the standard, but there were some reasons that made difficult to follow. Why don't we re-examine the reasons for the failure to adhere to the standard and think about the countermeasures that suit the objectives?
今日の品質会議で感じたことです。
製造現場で作業標準が守られなかったため不良が発生した。対策として作業者の再教育を実施した。
よく見られる対策だと思います。教育で一定の効果は期待できるでしょう。
ここで質問です。教育の目的は何でしょうか?
通常、「知らないことを教える」事が教育訓練です。標準を知らない作業者に対しては有効です。標準を守らなかったのは標準を知らなかったからでしょうか?「何を理解してもらうための教育か」を考えると教育内容も変わるはずです。既に標準を理解している人に、標準を知らない人と「同じ教育」を行っても教育が効率的に機能しない可能性もあります。
「標準を守ろうとしたが、守ることを難しくした理由があった」のかもしれません。「守れなかった理由」は何だったのか。標準が守られなかった原因をもう一度深く追究し、目的に沿った対策を考えてみませんか?
一見、問題なさそうに見える活動も、鳥瞰する姿勢をとると、素朴な疑問が湧いてきます。日本人の感受性は海外では非常に貴重なものです。
臆せず質問してみる、のも拠点長ならではの機能ではないでしょうか。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
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