クリールの取材と若き日の苦い思い出
本日の仕事はクリールの取材から始まりました!
コロナ禍でなかなか直接お会いする機会がなかっただけに、楽しい取材でした。詳細は雑誌が発売されたらお知らせしますが、今の治療内容を汲み取って、企画の中で僕を選んでくれたのが嬉しかったです。
クリールとのお付き合い
さてさて、クリールとのお付き合いは2007年のかすみがうらマラソンにまで遡ります。当時、フルマラソンの怖さも難しさも知らないまま勢いで優勝。あれよあれよという間に北京マラソンへの派遣が決まった時に、「話を聞かせてもらっていい?」とスッと近づいてきたのが当時編集長の樋口さんでした。
偉そうなことを色々と喋った気がします。
「練習はこんなことしてます!」
「社会人になって大学生の頃とは違うんで工夫してます!!」
とか嬉々として喋っちゃってたかな(苦笑)。当時は社会人になりたての時期。大学生の頃の”貯金”のおかげでさほど苦しむことなく大きな失速もなく走っての優勝だったので、正直なところ時間を工面しながらコツコツ走力を上げている市民ランナーの方々のスタンスとは似て非なるものでした。にもかかわらず上記のようなコメントをしていたのはお恥ずかしい限りですね。
そんな浅はかなコメントはもちろんお見通しだったと思うのですが、樋口さんは優しく聞いてちゃんとした小さなインタビュー記事にしてくれました。「陸上競技マガジン」や「月刊陸上競技」といったゴリゴリの専門誌に載せてもらえるほど僕は競技力が高くなかったから、こういうご縁が本当に嬉しかったです。
20代の市民ランナー遍歴
社会人として酸いも甘いも経験する20代は、非常勤講師として高校で保健体育の教師を務め、NPO法人で市民ランナーのランニングコーチをやり、マッサージのバイトを掛け持つという”3足の草鞋”状態でした。
毎日くたくたになって働く日々。誰もが経験することかもしれませんが、ある意味すごく充実していたし、その時の経験は今のしっかり繋がる大きなものです。
そんな状況下でのマラソン練習となれば、当然時間を工面する必要が出てくるし、学生の頃とは全然違った生活スタイルになります。深夜2時から走り始めたこともありましたし、徹夜でテストの採点をして軽く走ってから仕事に戻るという日もありました。時間のない中で走る市民ランナーが走り続けるためにはどれだけ高いエネルギーが必要なのかを身に染みて感じた気がします。
練習の組み方やマラソンの考え方を自分の中でも次第にしっかり持つようになり、初マラソンから2年後のかすみがうらマラソンで再び優勝。その頃はさすがに大学生の貯金なんてない状態だったので、2回目の優勝は素直に嬉しく、そして自信にもなりました。
陸上競技者としてなかなか結果が出せずに不完全燃焼で終わっていた学生時代でしたからね。ランニング雑誌でも記事を書かせてもらう機会が少しずつ増えてきたのはその頃です。
社会人としてOUTな失敗
そんな折に大きなチャンスをいただきました。クリールの紙面で1年間の連載を持つという大仕事。サブ 3.5(フルマラソン3時間半切り)、サブ4(フルマラソン4時間切り)を目指す方々に向けて1ヶ月間の課題と具体的なメニューを4ページに渡って書くのでなかなかのボリュームになっていました。※今でも続くクリールの名物コーナーですね
文章を書くのは苦手じゃないと思っていたし、本当にありがたい光栄な話だったので、話をもらった時は即答でYesのお返事。でも、そこから毎月原稿の締め切りに追われる日々がはじまりました。
上記のような生活は20代のデフォルトだったので、休みなんてほぼありません。毎日仕事を深夜までやってる状況でしたが、そんな中でも要領よく早めに取り掛かればいいのに、原稿作成はいつも月の半分を過ぎないとスイッチが入りませんでした。気がつけば毎月締め切りギリギリまで原稿に追われることに。挙句の果てにはとうとう約束している締め切りを過ぎちゃうことが何度か続いてしまい、本当の大きな迷惑をかけてしまいました。
忙しいは言い訳にならないですよね。
そもそも、雑誌は原稿ができた完成ではないので、その後は内容にあったイラスト作成を依頼し、文字数やレイアウトを調整して、誤字脱字のチェックをしてと・・・素人がわかるレベルでも原稿が仕上がった後にすべき仕事がたくさんあります。にもかかわらず、僕が全ての仕事をとめていました。
「社会人としての自覚が足りない」
と当時の上司からは何度も口を酸っぱくして言われました。まぁ、そりゃそう言われても仕方ない状況ですよね。最後は樋口さんが身を粉にしてまとめてくれていたともいます。当時はそこまで気が回っていませんでした。
1年間の連載は無事に終了したものの、それ以降直接お仕事をもらう機会が減ったのはいうまでもありません。情けない失敗です。。。
Done is better than perfect.
「完璧を目指すよりまず終わらせろ」という言葉があります。
そもそも、物書きに完璧はないんじゃないかなと思います。どこまで書いても、「より良い表現があるんじゃないか・・・」「もっと文章が良くなるんじゃないか・・・」と考えたりしてしまうもの。それを求めるあまりに結局原稿を出すことができなかったら、本末転倒ですよね。
完璧を目指そうという姿勢は決して悪い価値観じゃないとおもいますが、それも程度の問題。今となっては色々分かってきたつもりですが、今日久しぶりにクリールの編集部の方々とお会いして色んなことを思い返すいい機会になりました。
今もふとすると「完璧を目指す」という必ずしも正しくない価値観に傾倒しがちです。でも、その時に何を求められていて、どこまでやればいいのかを改めて考えることをしていく必要がありますね。
あっ、そういえばこのnote、久しぶりに「書き始めた日」に書き終えたわ(笑)