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デュシェンヌ歩行に対する治療法

こんにちは、茨城県で理学療法士をしています宮嶋 佑です。

今回は歩行時に体幹が側屈するデュシェンヌ(Duchenne)歩行について、基本的な事から評価治療まで一気に解説したいと思います!


Duchenne歩行は、中殿筋の筋出力不足が原因で、体幹が荷重側に傾斜してしまう歩行です。
特に股関節疾患の方に多く見られる歩行であり、人工股関節術後も残存する歩行である為、悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

僕も7年間人工股関節全置換術後の患者さんを多く見る病院に勤務しておりましたので、Duchenne歩行の患者さんは非常に多く見てきました。
そして実際に臨床でDuchenne歩行になっている患者さんを見ていると、いくつかのパターンがある事に気が付きました。

このパターンを評価し、パターン別の治療を行うと非常に効果的です!

今回の記事では、
①Duchenne歩行の治療で知っておいて欲しい事
②骨盤での分類
③体幹による分類
の3つをお伝えします。

この記事を最後まで読んでいただくと、変形性股関節症や人工関節置換術後の患者さんに対して非常に自信をもって介入できるようになれます!

是非最後までご覧ください。

①Duchenne歩行の治療で知っておいて欲しい事

Duchenne歩行の治療に入る前にどうしても知っておいて欲しい事を説明させてください。

1.Duchenne歩行を直さない方が良い場合もある


1つ目は、Duchenne歩行を直さない方が良い場合もある事です。


Duchenne歩行をすることのメリットとして

①股関節外転筋が楽

②臼蓋の被覆率が高まる

③股関節の合力が低下する

の3つがあります。

順に説明してきます。

①股関節外転筋が痛くない


Duchenne歩行は、重心線が股関節の外側を通る為、股関節外転筋の筋力を必要としない歩行です。

逆を言えば、股関節外転筋に疼痛がある人は Duchenne歩行の方が痛く無いんです!


例えば手術の侵襲によって中殿筋に炎症が生じている人は、Duchenne歩行で歩いた方が痛み無く歩けます。

つまり、股関節外転筋に伸長痛や収縮時痛がある場合は、Duchenne歩行を治そうとすると疼痛が悪化してしまうため、まずは疼痛を改善してからDuchenne歩行を治していきます。


②臼蓋の被覆率が高まる 

変形性股関節症の多くは、臼蓋形成不全症が原因で生じます。

臼蓋形成不全症とは、生まれつき臼蓋のかぶりが浅い状態です。

上の図をみてみると、正常の股関節より大腿骨頭の上部を臼蓋が覆っていないことがわかります。

これを臼蓋の被覆率が悪い状態と言います。

Duchenne歩行では、大腿骨頭の上方に臼蓋が覆いかぶさるようになる為、臼蓋の被覆率は向上します。

なので、臼蓋形成不全症で疼痛が強い人などは、Duchenne歩行していた方が良いこともあります。


③股関節合力が低下する 

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