【5分くらいでわかる地理】#002 アイルランド①
今回はアイルランドの基本情報について紹介します。『データブック オブ・ザ・ワールド2020』(二宮書店)による情報を頼りに、アイスランドの基本情報を追ってみましょう。
①アイスランドの正式国名
アイルランドの正式国名ですが、「アイルランド」が正式国名という場合もありますし、一方では「アイルランド共和国」と書かれてる場合もあります。
「アイルランド」は、現地の言葉、つまりアイルランド語で「Éire(エアル)」といいますが、英語では「Ireland(アイランド)」といいます。実は「アイルランド」とは言っていません。日本の場合はどちらかと言うと「アイルランド」とはっきりいいますね。漢字表記は一文字だと「愛」で表します。
首都はダブリンです。ダブリンの人口は53万人程度ですから、それなりに大きな都市です。北緯53度に位置しています。面積は7万平方キロメートルですから、北海道よりもやや小さいぐらいです。そこには、およそ490万の人々が生活をしています。
国名:アイルランド共和国
首都:ダブリン(北緯53度、西経6度)
面積:7.0万km2
人口:488.2万人
②アイルランドの地勢と気候
草原が広がるアイルランド
地勢を見てみましょう。
アイルランドは、アイルランド島の北端、イギリス領北アイルランドを除くアイルランド島の大部分を占めています。セントジョージズ海峡を隔てて、グレートブリテン島と接しています。中央部は石灰岩の低地が広がっていて、多数の湖があるそうです。
気候です。
北大西洋海流の影響で夏と冬の寒暖の差が比較的小さい。首都ダブリンの緯度が北緯53度ですから、相当な高緯度に位置しているわけで、本来ならば亜寒帯(冷帯)気候が展開してもおかしくない、それだけ寒冷な場所です。しかし、アイルランド島の沖合いを暖流の北大西洋海流が流れているため、温帯気候を示します。西岸海洋性気候(Cfb)ですね。夏の平均気温は、15℃前後とかなり涼しいようです。
アイルランドは、森林というよりは草原の多い国です。アイルランドの土地利用をみると、「牧場・牧草地」割合が49.4%と、国土のほとんどが草原です。冬季になると5℃前後と結構温かいので、ほとんど雪は降らないそうです。降水は季節による変動が小さいです。
首都ダブリンは、1月の平均気温は5.3℃、7月の平均気温が15.5℃ですので、気温の年較差は10℃ぐらいとかなり小さいですね。東京の気温の年較差が23℃ぐらいですから、やはりダブリンの気温の年較差は小さいといえますね。ヨーロッパの各都市は、一般に気温の年較差は小さいです。年平均気温が9.8℃、年降水量は775mmです。
埼玉大学 谷謙二先生の作成
アイルランドの国土はカルスト台地が広がっていて、侵食によって川や湖、そしてリアス海岸も形成されています。そして、フィヨルドの存在は非常に大きいですね。偏西風は西側から吹いてきますので、風上側となる西部は雨が多くなります。降った雨が氷となって、氷が地面を削ってU字谷を形成し、それが沈んでフィヨルドが形成される。アイルランドでみられるフィヨルドは、東海岸よりも西海岸に多く存在します。
U字谷とフォヨルド
『目からウロコのなるほど地理講義(系統地理編)』
(学研プラス)より
アイルランドは「牧場・牧草地」割合が高い。牧草が育つ環境だからこそ、畜産業が盛んです。牛の飼育頭数700万頭を超え、羊の飼育頭数は300万頭、豚の飼育頭数100万頭と、家畜の数はかなり多い。さらに、アイルランドといえば馬産の国ですね。競馬が盛んな国として知られてます。
③ケルト人の国、アイルランド
ある国の人が「〇〇人」と呼ばれる時は、言語系統を用いることが一般的です。ドイツ人が「ゲルマン系」といわれるのは、インドヨーロッパ語族ゲルマン語派に属するドイツ語を喋るので、「ゲルマン系」の人という言い方をします。そういう意味では、ゲルマン語派に属している言語、英語やドイツ語、オランダ語、スウェーデン語、アイスランド語、ノルウェー語などがあります。
アイルランドの人たちが使用している言語は、インドヨーロッパ語族ケルト語派に属します。ケルト語派に属する言語の一つにゲール語いう言語がありますが、これを英語に訳すと「ゲーリック」といいます。そのため「ゲーリックなんとかかんとか」という単語が、アイルランド語にはよく登場します。ゲール語には、アイルランドゲール語という言語があり、これがいわゆる「アイルランド語」と呼ばれています。
「アイルランド語がアイルランドの公用語の一つ」というところがポイントで、公用語は他にもあります。それは英語です。アイルランドでは、アイルランドと英語が公用語となっています。ゲール語の中には、もう一つ、スコットランドゲール語という言語があります。お隣、イギリスを形成する王国の一つ、スコットランドにはケルト系の人たちが多く住んでいます。
イギリスのスコットランドは独立の機運が高いことで知られています。独立基盤となる経済状況についてはイギリス編でお話しますが、やはりスコットランドの民族について考えると、ケルト系民族の文化の存在が根底にあるのではないかと思います。
アイルランド文学には、ケルト神話の影響を受けたものが多いといわれています。小説家として有名な、ジェイムズ・ジョイス、オスカー・ワイルド、詩人のウィリアム・バトラーイェイツ、劇作家のサミュエル・ベケットなどの文化人が有名です。世界の文化に影響を与えた人たちが数多くいます。音楽の世界でいえば、16世紀後半から続いているアイルランドの伝統音楽は世界的に有名です。さらにアイルランドといえば、エンヤやU2などが有名ですね。
※今回の記事は、「みやじまん.com」にも掲載してありますので、ぜひそちらもご覧ください。
▼【地誌編】アイルランド①
https://miyajiman.com/archives/3452
▼みやじまん.com
https://miyajiman.com/
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