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「太りやすい体質」と遺伝子変異との関係
身体づくりにおいて、「消費カロリーが摂取カロリーを上回る」というのが大原則だ。しかしながら、カロリー計算上や基礎代謝などの数字の中では順調にやせるはずが、思うように体重が減らないというケースがある。
もしもクライアントでこうしたケースが起きた(あるいはヒアリングによってその可能性を感じた)場合、運動指導とは別に食事や栄養指導において、クライアントが俗にいう「太りやすい体質」に当てはまる可能性を考慮する必要があるだろう。
(1)人が太る原因とはなにか
そもそも、人が太りやすい原因はどこにあるだろうか?簡単に思い浮かべられるものとすれば、次のようなものが挙げられるだろう。
1)食べ過ぎ
摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると、余剰分が体脂肪として蓄えられる。早食いやながら食い、食事時間が不規則である、夜間にドカ食いをする、飲酒量が多いなどが、主だった生活習慣の特徴だろう
2)自律神経の乱れ
不規則な生活、ストレスによる自律神経が乱れ、特に交感神経の働きが低下すると、アドレナリンの分泌量が減り、脂肪燃焼・貯蔵のコントロール力が弱くなる。コルチゾール分泌量によって、血糖値の乱高下が誘発され、結果的に肥満になるともされている。
また、視床下部の満腹中枢・空腹中枢の調節機能が低下することで、過食気味になってしまうこともある。
3)運動不足
運動不足は消費エネルギー低下を招くだけでなく、エネルギーの体内への貯蔵も起こりやすくなる。
4)褐色脂肪細胞がうまく働かない
脂肪細胞には、細胞内に脂肪を貯蓄する白色脂肪細胞と、脂肪を分解し熱を産生し、体温調節を行う褐色脂肪細胞とがある。肩甲骨周辺や脊椎周辺に存在する褐色脂肪細胞が、機能低下や減少すると、肥満になりやすいと考えられている。
褐色脂肪細胞は、該当する部位(肩甲骨周辺など)を運動等で刺激することや、寒冷刺激、気温が低い状態で活性化しやすい。
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