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(1)概要

感覚統合とは、アメリカの作業療法士であるエアーズ博士によって用いられた用語である。「適切な行動をとるために感覚情報を処理したり組織化していくこと」、つまり複数の感覚を整理したりまとめたりする脳の機能のことを意味する言葉で、主に作業療法の現場では、発達障害を持つ子供のリハビリテーションや療育方法として発展してきた。

一方で、感覚統合はあらゆる人のパフォーマンス、姿勢、バランス、器用さに関連する分野でもある。近年ではスポーツ現場でも、ウォーミングアップの一環として採用されていることもある。感覚統合による運動機能向上を推進するトレーナーとしては、元オリンピック委員会強化フィジカルコーチ・宮崎裕樹氏などが有名だ。

トレーニー、トレーナーともに、筋・骨格・神経・内臓などへの関心は深い。実際に彼らの多くは、自身やクライアントの痛み、機能不全をアライメント、筋緊張などが起因していると考える。それが一因であることは十分にありえるが、感覚統合の分野(脳神経的な分野)では、こうしたコンディション不良は「脳で制御されている」と考える。

(2)5つの要素

感覚統合においては、次に紹介する5つの感覚が、パフォーマンスを高めるうえで重要とされている(文献やサイトによって、これが3つと紹介されることも多い)

1)視覚

これは視力(目がいい、遠くがよく見える)ではなく、眼から入る情報を正確に脳へ入力・処理できていることを意味する。例えば光の強さ、物体と自分との距離、動きの予測(跳ねる、転がるなど)ができているかということになる。

さらにいうと、こうした動きの予測に対して、実際の情報と自分の感覚とにどれだけ「ズレ」が生じているかも重要だ。キャッチボールなどで、相手が投げたボールを見てグローブを構えるが、実際にキャッチする瞬間に、グローブの位置を修正することが大半だ。サッカーなどでも、長い距離からの自分へのパスに対して、最初に予測した到達点とは違う位置に飛んでくることはよくある。

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