膝の完全伸展を促す神経へのアプローチ|変形性膝関節症や姿勢悪化のリスクを減らすためにできること
今回は膝の伸展時痛においてチェックすべき場所というテーマでお話をしていこうと思っております。実際の現場においても、膝の完全伸展ができない方が非常に多いんじゃないかなと思います。
膝の完全伸展がなぜ重要かというと、関節の不安定性や変形性膝関節症の方において、完全伸展をすることによって、頸骨と大腿骨の接地面積が増えたり、MCLやLCL、それからACLなど各靭帯が安定したポジションになったりします。歩行時においても膝の剛性獲得においても、非常に重要な役割を担うのが「膝の完全伸展」という関節可動性になります。
膝の完全伸展ができない原因はさまざまです。今回見ていきたいポイントは半腱様筋と半膜様筋、そして腓腹筋の内側頭です。これらの連結している部分の硬縮が原因で、可動性制限が生じてしまっていることがあります。その状況に対して、直接的に筋膜リリース、ストレッチを加えていくということも十分可能です。
ですが、今回は半腱様筋、半膜様筋、腓腹筋内側頭の支配神経である脛骨神経に注目します。座骨神経から分岐する脛骨神経の滑走性を獲得できていないと、痛みを伴う筋梗縮、いわゆる「スパズム」が生じやすくなります。今回は脛骨神経へのアプローチという点を解説したいと思います。
具体的なアプローチの概要
膝の完全伸展ができなくなると、対側の膝の変形性膝関節症のリスク以外にもさまざまな問題につながります。例えば、膝が曲がるということは、重心が全体的に下がっていくということでもあるため、体幹の屈曲による姿勢不良が起きやすくなります。そのため膝の完全伸展ができるということは、剛性及び安定性の獲得、そして体側の変形性膝関節症のリスク減少、そして姿勢不良に対する改善策にもなるわけです。
脛骨神経そのものに限らず、神経においても当然筋膜のように伸長性があり、神経のポイントや流れ、ポジションが分かっていることによって、神経そのものにもアプローチができます。
今回のアプローチでは脛骨神経の滑走性を高めるわけですが、特に遠位の部分や坐骨神経に近い部分(股関節の後面側、殿筋群)を走行している部分に分けて、それぞれに伸長・短縮を促すアプローチをしていきたいと思います。
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