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成功するダイエットのカギ?低カロリー食と「BCT」で体重管理を実現する
近年はダイエット情報があふれており、食事制限や運動などさまざまな方法が提案されています。中でも低カロリー食や超低カロリー食は、短期間での体重減少が期待できる方法として注目されていますが、一方でリバウンドなどの問題も指摘されています。
こうした課題を克服するには、単に「食事量を減らす」だけではなく、行動そのものをどのように変えていくかという視点が重要です。
今回紹介する論文は、低カロリーまたは超低カロリー食における行動変容技術(Behavior Change Techniques, BCT)が、体重減少とその維持にどのような効果をもたらすのかを系統的に検証したものです。トレーナーとしてダイエット指導に携わる方々は、クライアントの習慣形成やモチベーション維持のヒントとしてぜひチェックしてみてください。
行動変容技術(BCT)とは??
そもそもBCTとは、行動を変えるための具体的な手法の総称です。たとえば自己モニタリングや目標設定、フィードバックのほかにも、ソーシャルサポートや行動契約など、さまざまな方法があります。
自己モニタリング:自分の食事内容や体重を継続的に記録して変化を客観的に把握する手法。
目標設定:短期と長期のゴールを明確に決めることでモチベーションを維持しやすくする。
フィードバック:記録に対して具体的なアドバイスや励ましを行い、次の行動を改善するきっかけをつくる。
ソーシャルサポート:家族や仲間からの協力や応援を得ることで、孤独感を減らしやる気を維持する手段となる。
行動契約:たとえば「毎日30分ウォーキングをする」や「週に一度は体重を測定する」といった約束を交わすことで、行動への責任感を高める仕組み。
これらの技術は、ダイエットだけでなく禁煙や運動習慣の獲得など、さまざまな健康行動の変容にも応用されています。
論文では、特に自己モニタリングや目標設定、フィードバックといった自己調整を促す技術が重要だとされています。トレーナーとしても、こうした仕組みを意識しながらクライアントの指導を行うと、より効果的なサポートが期待できます。
BCT介入による低カロリー食・超低カロリー食の効果を検証
今回の論文は「Behavior change techniques in low-calorie and very low-calorie diet interventions for weight loss: A systematic review with meta-analysis」というタイトルで発表されています。
その内容は、太り過ぎや肥満の成人を対象に、**低カロリー食(1日800~1200kcal)や超低カロリー食(1日800kcal未満)を実施したランダム化比較試験を集め、その介入方法と結果を整理して分析しています。
研究の中心的なテーマは、こうした食事制限と組み合わせて行われる行動変容技術(BCT)が、体重減少と長期的な体重維持にどの程度の影響を与えるのかを明らかにすることです。
系統的レビューとメタ分析という手法は、複数の研究結果を網羅的に収集し、統計的に統合して総合的な結論を導く方法です。論文では、12か月以上の追跡期間がある研究を含め、合計で20件以上のランダム化比較試験を対象にしていました。
短期的な効果だけでなく、中長期的な体重維持についても検討されている点が、この研究の特徴です。
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