見出し画像

1)代謝とは

代謝(Metabolism)は恒常性を維持する細胞、組織、器官で起こる化学変化、あるいはそのプロセス全般のことである。代謝による身体の変化の根底を成す、様々なシグナル伝達イベントや化学反応を解析すると、正常細胞の生理学と疾患の理解を深められる(Metabolismは「変化すること」を意味するギリシャ語が起源である)。

2)主な代謝

(1)細胞代謝

複雑に並んだ生化学反応によって成される代謝であり、主なものに生体分子の合成(同化)、維持、分解(異化)に分けられる。代謝過程には様々な酵素・コファクターが関与しており、細胞の基本的な構成要素となる脂質、アミノ酸、炭水化物、ヌクレオチドの合成・分解に働く。

細胞代謝を成す様々な反応が、細胞の構成成分やエネルギーのプールに、分子を追加・差し引くといったすべてのプロセスを形成する。a食事による栄養素の取り込みが、主な細胞代謝反応に影響する。

(2)脂質代謝

細胞内の脂質の合成・分解の総称である。具体的にはエネルギー生成のための脂肪の分解(あるいは貯蔵)、細胞膜の構築に関わる脂質である、構造脂質・機能脂質の合成が含まれる。

脂質はエネルギーが豊富で、細胞機能を支持するための燃料として利用されている。さらに、脂質は主要な細胞構造の重要な構成成分でもあり、多くの重要なシグナル伝達ネットワークにも関与する。

脂質は栄養やエネルギーが欠乏した場合に生命機能を支持するため、異化作用を介して利用され。中性脂肪やコレストロールなど、主要な脂質は食事で摂取され、適切に消化吸収される必要があります。

人も含む動物は、脂質を食事によって取り込むか、肝臓の合成によって脂質を得る。

(3)炭水化物代謝

炭水化物の同化、異化、相互転換といった代謝の総称である。炭水化物は炭素、水素、酸素(C、H、O)からなり、単糖類、二糖類、多糖類など様々な形で存在する。炭水化物代謝は摂食後速やかに始まり、唾液アミラーゼといった酵素でより単純な糖へと分解される。

1.炭水化物の分解
炭水化物代謝は口腔内の酵素から分解が始められる。唾液アミラーゼにより、多糖をより単純な分子へと分解。消化のプロセスは小腸まで継続し、膵臓アミラーゼが部分的に消化された多糖を、単糖まで分解することで一連のプロセスは完了となる。

ここから先は

3,314字 / 2画像
このマガジンを購読すると栄養学的な知識がかなりマニアックに身に付きます。月2本以上読まれる場合は購読されたほうがお得です。

Nutrition Special Magazine

¥1,980 / 月 初月無料

栄養学の知識を様々な分野から解説していきます

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?