
大胸筋と姿勢の関係。筋トレで猫背が悪化するのは「ウソ」です。
夏真っ盛りですね。薄着になる機会が増えていくにつれ、Tシャツから感じ取れる雄々しい胸板にあこがれる男性が増えていく気がします。あれ、そうでもない…? 今日はそんな大胸筋を、姿勢の観点から語っていきたいと思います。
大胸筋のねじれの不思議。四足歩行の名残?
大胸筋の起始部は、上部・中部・下部でそれぞれ鎖骨内側1/2、胸骨、腹直筋鞘前葉だとされています。それに対して、停止部は上腕骨の大結節稜に共通して付着をしています。
大胸筋の大きな特徴は、大結節稜=停止部付近で「ねじれ」が起きているという点です。大胸筋の解説で度々このねじれについて解説していますが、トレーニングなどで起始と停止を近づけようとすると、本来はお互いがちょうど向かい合う用な関係で筋収縮が起きます。しかし、大胸筋のようなねじれがあるとこの関係が生じないため、収縮効率が悪いです。

大胸筋を鍛える時は、肩関節の外転・屈曲がともなうように動作すると、このねじれが短縮位で解消

されます。私達はベンチプレスを脇を開いて行いますが、このねじれ構造を無意識に認識しているのかもしれません。
なぜヒトの大胸筋がねじれているかというと、四足方向のときの名残なのではという説があります。四足歩行の際、基本的に肩関節は(ヒトから見て)90°屈曲位がスタンダードです。この状態では、先ほど紹介したとおり大胸筋のねじれが解消されていて、強い水平内転の力などを発揮できるようになります。それが二足歩行になったことで、腕がだらりと下がった姿勢になったため、大胸筋にねじれが生じてしまったというわけです。
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