肩関節の可動域制限・つまり感を三叉神経で改善|超簡単アプローチで伸展筋群を活性化
肩関節の可動域改善において、基本的に筋肉・骨からアプローチをしていくのが定番です。ただ、肩は非常に繊細な関節であり、スポーツ経験者の場合下手に動かすと痛みを感じるというケースも少なくありません。その場合、なるべく痛みが出ない範囲でゆっくりと可動域改善を進めていくことが重要となります。
そんなクライアント(あるいは自身)に対して行える、非常に簡単なアプローチの方法を今回は解説します。ポイントとなるのは、タイトルでも紹介している「三叉神経(さんさしんけい)」です。
三叉神経の基礎知識をおさらい
まず簡単に三叉神経の基礎を説明したいと思います。
第5脳神経にあたる三叉神経は、主に顔の感覚を脳に送る役割があります。具体的にどんな感覚があるのかというと、分かりやすいところで触覚や痛覚、温冷の感覚などを脳に伝えているという感じです。
例えば目を開けているとき、「顔に何かが触れている」という情報は視覚からの情報も大いに影響しています。しかし、目を閉じているときに何かが顔に触れている際、「右頬に尖ったものが当たっている」「ひんやりした缶のようなものが顎に触れている」といった感覚を正確に把握できるのは、三叉神経が正常に機能しているからです。
もしも三叉神経の機能が低下していると、こうした感覚が鈍化してしまいます。右頬と左頬にそれぞれ同じ質感の物体を同じ力で押し当てているのに、右頬の方は何が当たっているのかうまく把握できない、あるいは当たっている力が弱いと感じといった現象が生じます。
ちなみに、三叉神経の三叉は「みつまた」とも読みます。その言葉の通り、目から上のおでこの部分、口から目の間の頬の部分、口から下の顎周辺に当たる部分と3つに分岐します。それらがひとつの束として脳幹に集まり、大脳に情報を送るという構造をしているのです。
三叉神経へのアプローチがなぜ肩の可動域に影響するのか
三叉神経は脳幹の3部位(中脳、橋、延髄)のうち、橋に付着しています。橋は活性化されていくと、伸展筋群の活性化が起きるとされている部位です。上半身で言えば、上半身で言えば胸を張るのに必要な背面の筋群が活性化されるとイメージしてください。
また、今回のアプローチによって、橋網様体脊髄路にもアプローチができます。橋網様体脊髄路が活性化されることにより、伸展筋群がより活性化されるという反応が起こると考えられます。
ここから先は
Brain Special Magazine
運動指導者の方へ向けて「脳」について理解し、パフォーマンスを高め機能改善などを行えるように学べるコンテンツです。
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?